6月議会・小林じゅん子の一般質問

責任問題になると語気を強める副市長

 18日〜20日の3日間は一般質問、20人の議員が質問しました。
 いつもだと、一般質問のテープ起こしが済んだ議事録をもらってからでないと、どんな内容だったのか報告できなかったのですが、今回は傍聴に訪れたYさんがレポートをまとめてくださったので、こうしてすぐに報告ができます。
 最初の質問「図書館開館に向けた取り組みについて」は、右の市民タイムスの記事(クリックすると拡大)がわかりやすいので、そちらで御覧ください。

◆安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)と三郷堆肥センター
 いぜん不透明な経営改善の見通し/市議会一般質問
 〜菜園会長(副市長)は「責任」明言せず〜

 安曇野市のトマト栽培第3セクター「安曇野菜園」(旧三郷ベジタブル)と、やはり不振の第3セクター三郷堆肥センターの経営改善問題が20日、安曇野市議会一般質問で取り上げられた。小林じゅん子議員の質問に対し、西山副市長ら市側は、あづみの菜園の経営がいまのところ改善計画に沿っていることを強調。堆肥センターについても改善計画策定を急ぐと説明した。両社の経営が依然危機的であるとする小林議員と認識の落差は埋まらなかった。

質疑要旨は次の通り。

 安曇野菜園について小林議員は、5月30日に報告された第5期上半期決算をどうとらえるか質問。「前年度対比でなく、経営改善計画に対してどうだったかをを見ると、改善が進むか、心配な決算報告だ」と指摘した。そして「これまでずっと売上高を製造原価が上回っていた。ところが、上半期は売上高2億2700万円に対し、製造原価1億700万円。ガス・電気で9300万円もかかっているのに、これだけ原価を圧縮できたのはなぜか」とただした。

 西山副市長(安曇野菜園会長)は「当期原価については、他勘定に1億1000万円振り替え、棚卸し損に持っていったりし、最終的に812万円の赤字になった。会計事務所の判断でこうなった。5月期はおととい計算が終わったが、最終的に2500万〜2800万円の赤字になる見通しだ。3200万円という改善計画より下回る。2、3ヵ月後に分かることだが、売り上げは当期としていい方向だ」と強調。二木産業環境部長は、同菜園の田中・新常務を中心とする経営管理、経費削減努力を評価し、「改善計画の達成を信じて見守る」と結んだ。

 これに対し小林議員は「他勘定への振り替えはこれまでもあった。意味不明で、議会や銀行、市民に見栄えのいい数字を提示するもの。経営実態を表していない。操作しているのではないか」と追及。西山副市長は「公認会計士にきっちり見てもらった。操作はありえないと信じる」と述べた。

 小林議員は上半期決算報告のトマト販売の計画値が、経営改善計画の値と変わっていることを指摘。「同じ計画なのに、1月と5月で値が違うのはなぜか。取締役会で見込み生産量を見直したという説明に該当するのか。見直したのはいつか。分かりにくい。ごまかしだ」と追及。西山副市長は「ごまかしではない。常務の段階で現実に合わせて数字をいじったと聞く。いつ、どこでまでは確認できない」と説明。小林議員は「意図的な操作ならば、経営改善が進む方向に疑問を持たざるをえない」。副市長は「私の勉強不足。ご指摘いただくまで、当然そういう(改善計画の)数字と思っていた」と謝った。

 このほか、安曇野菜園決算については、長期借入金、買掛金の減少、未払い金の増加について質疑。小林議員が「払うべきものを払わずに借入金を返したり、自転車操業ぶりが見えてくる」と指摘すると、副市長は「そういう内容も含んでいる。会社経営にはいろんなことがあるし、ベジタブルはいろんな課題を抱えている」と否定しなかった。

 上半期わずか7万円だった産業廃棄物処理費用について副市長は、「2月段階では出ていないが、5期終わりには出るだろう」という見通しを示した。しかし小林議員が「トマトのつるは、一般廃棄物として処理することになり、1キロ21円と処理費はかなり安い。もっと詳しく説明してほしい」と迫ると、「いま資料がなく、説明できない。後日にまた」と逃げた。

 小林議員は「経営改善計画は、株主である市民に約束した契約。これが果たせる状況にあるのか不安だ。改善が進まなかった場合、副市長はいつ、どのように責任をとるつもりか」と代表権を持つ菜園会長である西山副市長の経営責任を問うた。これに対し副市長は「いま、改善に取り組んでいる。仮定の話には答えられない。全力で再生に尽くす」と、語気を強めた。

 最後に小林議員は、決算の時期について「仕掛品が出て、数字にブレが出るのは、8月では時期が悪い。トマト収穫が終わる6月に変えたらどうか」と提案。副市長は「いま初めて聞いたので、よく検討して考えたい」。収入役は「決算の継続性の問題もあり、決算期を変えるのはむずかしい。仕掛品の考え方を大きく変えたときならば…」と消極的だった。

◆堆肥センター経営改善も論議すれちがい
 三郷堆肥センターの経営改善は、出資法人のありかた検討委が「経営改善策の早急な策定と、経営システムの再構築を提言している。小林議員は同センター経営の現状認識、提言を受けて発足した公社改善促進プロジェクトの進捗状況、そしてセンター経営改善の見通しを問うた。

 二木産業環境部長は「検討委が指摘した①還元堆肥の見直し②排泄物の水分調整も、重要課題として認識している。センターと農家が一体となり、改善計画をつくるよう指導している」と説明。小林議員は「プロジェクトチームがやっていることは、そもそも今頃やることではない。公社は安曇野市の指定管理者にもなっており、その時点も見直しの機会があった。補助金の報告時にも問題点は把握できたはずだ。その時点できちんと対応していれば、ここまで経営悪化することはなかった。問題は分かっているはず。具体的な取り組みを急いでほしい。建設当初、地元農家との“お約束”とは、何か」とただした。

 二木部長は「ご指摘の“約束”はあったと聞く。(明らかにするのは)むずかしい」と言葉を濁した。小林議員は「明文化されてない約束にこだわっていては改善が進まない。信義の問題というなら他の市民に対する信義・責任もある。早く経営改善計画をまとめよ」と結んだ。論議はすれ違いで詰まらず、時間切れとなった。