「三郷ベジタブル問題」で第5回学習会

安曇野菜園の経営問題の学習・裁判報告会

 11月1日午後は「三郷ベジタブル問題」第5回学習会。昨年12月に堀金で開催した第1回学習会から数えて5回目の今回は明科にやってきました。2週間ほど前「種まき通信NO.24を発行したときに、「明科で学習会やります」とお知らせして明科地域に新聞折込したのですが、残念ながら明科からの参加者はありませんでした。「なにもわざわざ、ベジタブルに大賛成の議員がいるところでやらなくたっていいものを」と、学習会開催のマイナスの反響を心配する声も聞いていたので、そうは集まらないだろうとは思っていましたが、ゼロというのは予想外でした。

 以下に、「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんの報告を掲載しますので、ご覧ください。

「三郷ベジタブル問題」で第5回学習会
       第5期決算も見込み外れの様相 
           三郷堆肥センターは税金乱費

 安曇野市のトマト栽培第3セクター、安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)の経営問題を考える学習・報告会が08年11月1日、明科産業会館で開かれ、市民ら10人が参加した。三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会(諌山憲俊代表)の主催で、5回目。安曇野菜園の経営は新品種販売や経費節減などが見込み外れの様相であること、さらに三郷堆肥センターは破綻しかねない経営状況であることなどが報告された。参加市民からは多額の税金を第3セクターに投入することに、強い疑問が出た。議会のチェックが機能してないことに、いらだちや失望が広がった。

 小林純子安曇野市議がまず安曇野菜園の経営状況を説明。第5期決算の締切日は、10月31日。内容は未公表だが、経営改善は見込み通りに進んでいないことが伝わってきた。新品種キャンディースイートは「安曇野ルビー」という商品名で8月中旬から出荷が始まった。温度管理がうまく行かず、思ったほど収穫はよくないという。運送代、販売経費などコストもかかり、「かなり厳しい。心配だ」ともらす市職員もいる。しかし、菜園会長の西山馥司・安曇野副市長は「けっこういける」など楽観的な発言をしていると伝えられ、落差がある。いずれにしても、新品種が反映する決算は、来年の第6期になる。

◆カゴメ、「三郷ベジタブルの経営責任負わぬ」協議内容を市が開示
 小林市議とともに行政訴訟の原告をしている藤原浩さんは、長野地裁での第4回、第5回口頭弁論の報告。①安曇野市の被害立証②損失補償契約は無効、の2点を軸に訴訟展開していると説明した。また、安曇野市にたいし情報公開請求をし、西山副市長や産業観光部長ら三郷ベジタブル関係職員が平成19年9月〜12月、3回の出張をしたさいの出張復命書の開示を得た。

 それによると、東京・中央区のカゴメ東京本社では担当取締役と9月に協議。西山副市長が三郷ベジタブルの経営改善計画策定にカゴメの協力を求めたのに対し、カゴメは「今まで通り誠実な支援をしていくが、カゴメは三郷ベジタブルの経営責任を負う立場にはない」とかわした。「トマト生産はカゴメ向け100%である必要はない。ベジタブルは栽培技術、経営能力の総合的向上が必要」と釘を刺した。12月の協議でカゴメ側は「カゴメはベジタブルの経営に参加しないし、経営責任を負うことはない。よってベジタブルに何をしろとか何をしてはいけないとかいう立場にない。今回提案(独自ブランドの新品種生産など)について承認とか反対とか、そういう立場にない。自社内で対応してゆく」と突き放した。

 そして確認事項のなかでカゴメは「カゴメはベジタブルに出資しているが、当初の出資目的は3年間の価格保証で果たされた。今後出資する必要があるか。カゴメが保有するベジタブル株式は価値がない。時期が来れば財務上の処理をしたい。カゴメの出資が報道され、一般には経営責任があると思われがち。株式はカゴメグループとして減損扱いが必要と表明。これに対し西山副市長は「出資は当分現在のままにしてもらいたい。経営状況が悪化している時期に出資を引き上げられると外部から見てカゴメから見放されたように見られる」と懇請。カゴメは「すでに1年ごとの契約になっており、今後も双方の協議で(トマト生産を)進めていく。場合によっては7期以降カゴメから取引縮小を提案する可能性がある」と念を押した。ベジタブルの経営改善については「上層部だけで作成した計画では全体が動かない」としている。

 小林市議は、安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)の温室施設について「年間7000万円の賃貸借契約を結んでいるが、そもそも賃貸借契約は地方自治法上できない。国からの補助金や地方債の窓口になった県は「賃貸借契約はできない」と断った。ところが三郷村は「村の直営」と書き直して申請した。

 賃貸借契約は生きたまま現在に至り、安曇野市は地方債を毎年7000万円償還し続けている。市は「公益性があるから7000万円は損害にならない」と説明しているが、私たちは損害になると主張し、裁判で争っている。総務省もこの7月「(自治体の)債務引受は財政援助制限法に抵触する」と注意する通知を出したと説明した。

 市の三セクでは三郷菜園よりひどい経営の三郷堆肥センターについては、改修費に関する住民監査請求案をもとに小林市議が説明。旧三郷村が設立した第3セクター三郷農業振興公社が指定管理者となって運営している。委託料1000万円が毎年入っているにもかかわらず、多額の修繕費を支出。4500万円の資本金を食いつぶし、7期末(08年3月)には1407万円に減少。そのうえ安曇野市は08年度大規模修繕費として6800万円を支出した。「税金をどぶに捨てている状態」と小林市議は指摘。このままではあと2年間で破綻する恐れが強い。経営改善も「まともな計画は出てきそうもない」と産業観光部長は話しているという。

◆「まっかっかの赤字企業は整理したほうがよい」
 三郷地区から参加した女性は「安曇野市の中でもなぜ三郷で問題が集中するのか。大もとの原因は何か。なぜこんなことがまかり通るのか」と慨嘆まじりに質問。掘金の女性は「税金をいとも簡単に使っている。とんでもないこと。まっかっかの赤字企業はつぶせばよい」。男性参加者は安曇野菜園の使用料返済計画について「企業経営計画は、長くて10年スパン。28年で返済というのは理解できない」。

 松本市の第3セクター「ファインフーズ梓川」の借り入れ資金の損失補償問題を注視してきた市民団体「松本市の財政を考える会」のメンバーは「国から補助金が出ると、必要以上の規模にしてしまう。補助金と自己資金だけで足りず、借り入れる。償却が始まるし、経費もかかる。旧三郷ベジタブルは作ったトマトを引き取ってくれる話だったそうだが、ファインフーズ梓川も全部引き取る約束で始まった。松本の4村合併にともない、梓川と四賀は村長失業。3セク社長は収まりのよいポストだった」と安曇野市の3セクにも通じる問題の構造を分析した。           

                            
◆起債申請書の訂正の証拠書類