147万円かけたトマト栽培事業関連の計画策定はムダに

旧三郷村議会の議事録からわかったオドロキの事実

 安曇野市の第三セクター安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)の経営不振と施設使用料未払が問題になって2年が過ぎました。安曇野市に対して関連の住民監査請求を3回、続く住民訴訟は8回の弁論を数え現在も継続中です。
 このごろでは、安曇野市の三セク問題を理解する市民も多くなりましたが、その一方で「三郷のトマト(三セク)は、ありゃもうダメなんだから。今さらいくらつついたってしょうがないよ。」と、あきらめ顔で話しかけてくれる人も。でも、この「あきらめ顔」は、もしかしたら「責任逃れ」の曖昧な表情なのかもしれない。
 
 「将来性のないトマト栽培の事業を強引に進めた旧三郷村行政と村長(現安曇野市の副市長)の責任を明確にし、今後二度とこのような問題が起こらないよう教訓としてほしい」、これは住民監査請求に込めたわたしの強い思いであり、住民訴訟にまで訴えた動機であり目的だといってもいいでしょう。
 責任を明確にするためには、何があったのかその事実を知らなければなりません。「今さら仕方ない」で済ますわけにはいかないので、疑問が出るたびに情報公開請求したり、心当たりに話を聞いたり、手持ちの資料をひっくり返してみたり、調査は継続中です。

 今日は、安曇野菜園(三郷ベジタブル)問題の経過を整理していて、またまた疑問点が出てきたので、旧三郷村議会の議事録を見に行ってきました。三郷図書館に保管されているのですが、今回が3度目です。これまでにも一般質問や予算、指定管理者の指定の条例など、議論があったであろう時期の議会の議事録を探して調べています。
 紙の議事録はネットのように検索機能で探し出すわけにはいかないので、お目当てのページを探し出すのに手間がかかります。これまではカンというか当てずっぽうで見ていたところもあり、落ちもあるように思われました。そこで、今回は、トマト栽培事業の進展の時系列に沿って議事録を見てみることにしました。(というか、問題の経過を整理したことで時系列が見えてきたともいえるのですが)

 これまで、三郷ベジタブルの事業費20億円の予算はいつ出てきたのだろうと、議事録を調べてみるも見当たらず?(平成15年の3月議会のはずだが?)だったのですが、今回その問題の予算がどうなっていたのかよくわかりました。平成15年の3月議会に間違いはなかったのですが、新年度予算ではなく平成14年度の最後の補正予算として出ていました。
 年度末の3月に20億円もの補正予算など、私には考えられないことだったので、新年度予算の議事録の方を一生懸命探していたのです。見つかるわけがありません。
 改めて、もらった資料を引っ張り出してみたら、「H15、3月補正予算」とメモしてあるではありませんか。たくさんの資料・情報を集めながら、充分に活かし切れていない自分にちょっとガッカリ。

 それでも気を取り直して、その20億円の補正予算の議事録を読んでみたところ、またしてもオドロキの事実が出てきたのです。私としては「補正予算で20億円」これだけでも充分に驚きですが・・・
 補正予算ということで委員会での審査も省略して行われず、質疑もなく、討論もなく、ようするに質問もなければ、反対意見も賛成意見も一切なく、さっさと採決に移され「異議なーし」(これでも全会一致となるのか?)で可決されていたのです。行政も行政なら、議会も議会。ノーチェックで議会を通してしまったではありませんか。まったく信じられないことです。 「将来性のないトマト栽培の事業を強引に進めた旧三郷村行政と村長の責任を明確に」と訴えていた私ですが、さらにそこへ旧三郷村議会の責任も問わなければならないようです。

 関連してもう一つ疑問点をあげておきます。
 トマト栽培の事業実施計画の策定をコンサルタントに147万円かけて委託していたのですが、その報告書が出来上がってきたのは3月議会閉会後の3月28日。事業費20億円の補正予算の審議には間に合わず、検討されることもなく、いったい何のための計画策定だったのでしょうか。補助金をもらうためだけの計画書・報告書だったのか。
 報告書の10ページには「第三セクターは、経営の赤字構造に悩む例も多く、その設立・運営に当たっては地域の理解を十分に得ていくことが重要である。」としながら、25ページには「本事業は第三セクター方式により設立する農業経営体に委託する。三郷村がその2分の1以上を出資して・・・」と決まった事のように書いてあるのですが、この矛盾、今となっては笑えません。