やっぱりおかしい第1次中期経営改善計画書

安曇野ルビーはあきらめてカゴメにすがるしかない?

 三セク問題のおかげ(?)で、企業会計のことも少しは理解できるようになりましたが、安曇野菜園の決算書は「特殊」なので、企業会計初心者の私には未だよくわかりません。5月29日報告の「安曇野菜園の第6期上半期決算」でも書きましたが、考えれば考えるほど疑問がふくらみます。(「偽装決算ではないか」と疑う人もいます。)
 同時に提出された第1次中期経営改善計画も、そんな決算の延長線上に作られたものですから、本当に大丈夫かと心配です。そこで、今日は第1次中期経営改善計画の疑問点について書いておきたいと思います。

 今回の経営改善計画では「安曇野ルビー」(品種名キャンディースイート)のことに全く触れていません。昨年1月発表の経営改善計画の目玉として導入した高糖度トマト「安曇野ルビー」。10年契約のカゴメとの将来(10年後の取引は不透明)を考慮し、カゴメに頼るのではなく「安曇野ルビー」の独自路線で再建を目指すと言っていたのに、そのあたり何の説明もありません。計画売上量の半分にも達しない現状に目をふさいだまま経営改善などできようはずがありません

 トマトの生産方針を『省費用生産型』に転換すると言っていますが、要するに「生産量が伸びない現実」に合わせただけです。聞こえのいい『省費用生産型』という言葉でごまかしているとしか思えません。
 「安曇野ルビー」が期待薄であるならばむしろ、カゴメとの関係強化によって栽培技術の向上〜経営改善を考えるのが現実的ではないでしょうか。(今さらカゴメの技術指導を受け入れるのは難しいのか?)

 『省費用生産型』ということになると、LPG費用は使用量削減と原油価格が落着いたことから劇的に減少していますが、パート従業員の人件費は売上目標を5億円から4億円に下げているにもかかわらず変わりません。1億円分のトマトの生産・出荷に必要な人手がいらなくなるのに、なぜ人件費削減できないのか。
 考えてみれば、単価の高い「安曇野ルビー」の生産が減ることになるので、人手は減らすに減らせないのでしょう。そういえば、当初「ルビーは単価が高いので、たくさん作らなくても利益が出る。人手を増やす必要がない。」という話を聞いた覚えがあります。これは、ルビーの生産を縮小しても人手は変わらない、人件費は減らせないということです。『省費用』というには、やはり無理があります

 そして、無理があるといえば、最悪なのが今後5年間の資金繰計画です。安曇野菜園は施設敷地を長野県農業開発公社から借りているのですが、4年後には買取る契約になっています。これについて「土地取得のための資金繰の見通しが立つ時点で資金計画に含める」と但し書きがあるのです。都合の悪いものを外して作った「資金繰計画」など、何の役にも立ちません
 この土地取得には1億7,000万円ほど必要ですが、まさか安曇野市に買ってもらおうなんて考えてはいないでしょうね。もしかしたら、市が増資するとか、市の損失補償をつけるとか、そんな話も出てくるのでしょうか。

 とにかく、会社の代表者印まで押された「第1次中期経営計画書」、表紙だけはリッパですが中身は空疎です。A41ページに収まる内容を、わざわざ文字を大きくして3ページに水増しし、根拠のない目標損益計算書と資金繰計画表を付けただけ。
 「民間の企業だったら、こんなもんじゃ通りませんよ。お役所や議会はどうかしてますよ。」というお叱りの声も届いています。株主でもある市民のみなさんには、ぜひ見ておいていただきたいと思います。

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