6月議会一般質問、安曇野菜園の問題のほかにもう一つ、増田建設に対する一般廃棄物処理業許可について質問しました。持ち時間60分のうち43分を安曇野菜園に費やし、残り時間が17分しかなくなってしまいました。これはもう前段の経過説明を省いて、質問だけぶつけようかとも考えましたが、経過説明がなければ、市長の言い分しか議事録に残らないし・・・ そう思い直して用意した原稿通りに質問しました。ブザマに時間切れとなってしまい、問題点を浮かび上がらせるに至らず残念でした。
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増田建設産業㈲に対する一般廃棄物処理業許可について
増田建設産業は県の許可を受け、平成14年から産業廃棄物処理を行っています。当初は問題なく営業していましたが、この会社の工場地が㈱あずさ環境保全に売却された平成16年の終わりごろから「あずさ環境保全」の影響によるものか、粉塵・騒音・悪臭などの公害がひどくなりました。住民は県に対しその環境被害を訴えるとともに、増田建設産業の違反違法を指摘し、産業廃棄物処分業の許可更新を行わないよう求めてきましたが、県はその声に耳を貸すことなく、昨年10月に許可の更新をしています。増田建設産業はその直後の11月に、さらに一般廃棄物処分業の許可を求めて安曇野市に申請したため、問題が拡大することとなります。
住民は、一般廃棄物処分業許認可権限を持つ安曇野市に対し、これまでの不当な県の許可更新に影響されることなく、住民生活が守られる方向での判断を願い、不許可を求める要請書を市に提出しました。議会へも陳情書として提出し、安曇野市議会は3月19日にその陳情を採択しています。しかし、市は、議会の決定・住民の意に反し、4月13日の議会全員協議会において「法的に不備がなければ許可せざるを得ない」との判断を示しました。
このことに疑問をもった市民からは、公開質問状を市に提出するなど、増田産業の更なる業務拡張につながる一般廃棄物処分業の許可を与えないよう訴えましたが、市はついに5月11日に増田建設産業に対し一般廃棄物処分業の許可を与えました。以上、この問題の経過です。
増田建設産業が一般廃棄物処分業許可申請する主目的は、「産業廃棄物に一般廃棄物が混ざっても違反にならないようにしたい」ということですが、たとえ一般廃棄物の許可を得ていても、産廃と一廃を混入した状態で受け入れ処理することは違法であり、申請目的に矛盾があります。
実際これまでに、一般廃棄物である木製パレットの持ち込み、トマトの蔓の違法処理、マニフェスト虚偽記載など、たびたび違反行為や不法行為を繰り返しています。市は増田建設産業について「過去に問題を起こしたことはあるが、今は行政指導に従っており問題はない」と説明していますが、現在も鳴沢川河川敷堤防を搬出入道路として使用するなど、行政指導を無視して営業しています。
また、今回の申請にあたって、増田建設産業はその内容について1度も地域住民に説明をしておらず、誠意のないその態度からして、信頼できる業者とは言い難いものです。となれば、「不正または不誠実な行為をする恐れがあると認めるに足る相当な理由がある者」に該当し、当然不許可にすべきと考えます。市が「不許可の要件に該当しない」「法的に不備がない」と判断した根拠は曖昧で、市民には不可解で納得できるものではありません。
市は今後「住民監視行政関与」のシステムの構築に努めると言っていますが、そもそも「住民監視」を必要とするような業者に、市が許可を出すことなど考えられません。増田建設産業が申請にあたって提出した「経過書および、許可証申請依頼」には、「安曇野市は一般廃棄物を適切に行っていない。あまりにも酷い状況なので一般廃棄物処理業許可申請をした」とまで書かれています。市が許可したということは、この業者の言い分を認めたことになり、行政関与で指導すること自体が困難なのではないでしょうか。
以上、経過説明のあと、いくつか質問項目を用意していたのですが、増田建設に対し一般廃棄物処理業許可を与えた根拠について質問したところで時間切れ。
しかし、市長の答弁からは、「許可は苦渋の選択であった」とは感じ取れず、「はじめから許可ありき」で対応していたのではないかと思われるフシも・・・。
Q(小林)「法的に不備がないので許可した」苦渋の選択だったというが、ならば住民監視・行政関与の仕組みを具体化してから許可すべきでは。
A(市長)増田建設は産廃処理の業者として権利に基づきこれを行っているが、公害等を出していることは否定できない。陳情7団体や地元議員も協議に加わってもらい、何とかいい方向に進めるためには住民監視・行政関与でいくのがよいだろうとの一応の了承を得ている。
この市長答弁にある「一応の了承を得た」というのは、4月21日と30日に持たれた2回の会合を指していますが、これはあくまでも住民の被害の実情を聞くということで集まった会合であり、話し合いや協議をする場ではなく、ましてや結論を出したり合意に至った経過はないということが確認されています。
了承などされていないのに、そのまま5月11日には許可を下ろしたわけです。この1点をとってみても、「はじめから許可ありき」で対応していたのではないか、そう思えて仕方ありません。
2月5日に不許可にするよう要請書を市長へ提出した際、市長は「これは(一般廃棄物を不許可にした場合)当然裁判になる裁判になれば受けて立つ」、「私としては出来れば不許可にしたい」と発言しているのですが、これをどう解釈すればいいのか。文字通り受け止め「これなら許可することはないだろうと安堵した」住民は多かったのに・・・