この「ふるさと雇用再生特別事業」ですが、下記の信濃毎日新聞の報道に詳しいので、ご覧いただければいいですが、要するに開業7年目を迎えてもなお、満足のいくトマト栽培ができないという現状を打破するために、国の交付金を利用して「安曇野市がカネを出す」ということです。
◆経営再建中の安曇野菜園
カゴメの技術指導強化〜市が方針 月1回担当者招く
(安曇野菜園が経営するトマト栽培施設。10年間の納品契約を結んでいるカゴメが技術指導に乗り出す)
安曇野市は3日、経営不振が続く市出資の第ニセクター「安曇野菜園」経営立て直しのため、同じく出資者で納品先のカゴメ(名古屋市)から毎月1回技術者を招いて技術指導を受けられるよう、支援態勢を強化する方針を明らかにした。
二木一雄産業観光部長が市議会9月定例会の議案質疑で答弁した。市は安曇野菜園再建のため、国交付金を使って経営の専門家を雇い、技術指導を受ける事業を安曇野菜園に委託する方針で、定例会に提出している本年度一般会計補正予算案に438万円を計上している。このうち65万円をカゴメの技術者への謝礼や旅費に充てる。このほか、県農業改良普及センターヘも技術指導の強化を要請しているという。カゴメは安曇野菜園と第H期(2014年8月期)まで納品契約を結んでいるが、これまで技術指導は毎月1、2回、電話やメールで行っていた。しかし、技術が確立できず、黒字転換を目指した第6期(09年8月期)業績予想が3期連続最終赤字となっていた。安曇野菜園はカゴメ向け品種「プラムレッド」「ラウンドレッド」を栽培する一方、抗酸化作用を持つ色素リコピンの濃度が高い品種や、地中海産など数品種の試験栽培も始めており、品種転換も視野に技術指導を受けるという。
以上、信毎記事より引用ですが、そもそも「ふるさと雇用再生特別事業」というのは、雇用失業情勢が厳しい地域において、地域の実情や創意工夫に基づき、地域求職者等を雇い入れて行う雇用機会を創出する取組を支援する」というのがその目的です。「雇用の緊急性」が優先されるべきで、安曇野菜園の緊急性(経営危機)のために使われるべき予算ではありません。スジチガイというものです。
二木産業観光部長は、カゴメの技術指導が入れば今後のトマト栽培に自信が持てるなどと答弁しましたが、実はカゴメは「栽培環境の制御(温度など)は試行錯誤している状況であり、カゴメでも自信をもつて温室の制御ができる技術者はいない。栽培技術は細かな対応の集大成であり、完璧なマニュアルが存在するものではない。タイミングごとの細かな対応ができるかどうかが重要」と話しています。(7月31日に東京都カゴメ株式会社へ出張し協議した内容の報告=出張復命書による)
カゴメは、要望に応えカゴメの関係菜園で指導できる人材を探す旨回答していますが、「タイミングごとの細かな対応ができるかどうかが重要」と言っているにもかかわらず、毎月1回の指導でどうなるというのでしょうか。
産業観光部長に「この予算を安曇野菜園に投入することで、トマト栽培技術が向上し経営改善につながるとの確信があるか」と質問したところ、やや間があって「期待はある」との答えが返ってきました。さすがに「確信がある」とは言えなかったのでしょう。
これまで何度「この次に期待して・・・」と問題の先送りをしてきたのか、よくよく考えていただきたい。カゴメと契約してずっとトマトを作ってきたのに、7期の今ごろになって月に1回の技術指導を受けてどうなるというのでしょうか。わたしは、この補正予算には反対です。