議員年金制度の廃止を求める意見書案・賛成少数で否決

廃止案支持でまとまった安曇野市議会がなぜ?

 「地方議会議員年金制度の廃止を求める意見書の提出について」を議員提案したことは昨日の報告に書いた通りですが、議員年金廃止で意見がまとまった安曇野市議会が、なぜこの「意見書」の議員提案を否決したのでしょうか。

 去る11月30日、議会全員協議会(全協)が開かれ、議員年金について存続か廃止か、安曇野市議会としての態度を明確にするため話し合いが行われました。
 「特権的」と批判の強い地方議員年金の存廃について、長野県内19市議会の議長が30日夜に臨時総会を開き意見集約するというので、急きょ招集されたものす。
 安曇野市議会の結論は、「議員年金制度廃止」でまとまりました。合併して4年、その前から議員だった人でも在職は10年未満、私を含む7年未満の人が15人、先月の選挙で初当選した新人議員が12人ということで、廃止の声が高いことは感じていましたが、こんなにスンナリと「廃止」でまとまるとは思っていませんでした。政党所属の議員は先輩議員に気を使って「廃止」とは言いにくいのではないかと気になっていたのですが、次々と廃止に賛成の意見が続き、議員年金存続賛成の意見は一つもありませんでした。
 そこで、私は「県下19市議会の中では廃止と決めた議会は少数派。安曇野市議会として廃止の意見書を決議し、議員年金廃止をアピールしたらどうか」と提案したところ、12月議会中に議員提案する方向で考えようということになったのです。

 12月14日から、無所属の一議員として各会派に「地方議会議員年金制度の廃止を求める意見書の提出について」賛同を呼び掛け、17日には新聞報道もされました。「(意見書案に)書いてある通りだ、大賛成」「うちの会派では全員賛同する」という声もたくさん届いていたので、意見書は可決されるだろうと思って期待していたのですが・・・。
 が、しかし、です。18日から「空気」が一変しました。「提出する時期を考えた方がいい、次の3月議会にしたらどうか」、「議長会の意見がまとまっていないし、今はタイミングが悪い」というような話が聞こえてきて、20日には5人いた賛同議員から1人が降りてしまいました。(賛同議員が3人いれば議員提出議案は出せるので、一人抜けても問題ないのですが、やはり残念なことでした)

 22日の本会議前の議会運営委員会(議運)では、「安曇野市議会は議員年金廃止の意見でまとまったが、県の市議会議長会のなかでは継続する案(公費負担を増やし給付水準を保つ)を支持する市が圧倒的多数。藤原議長は、そこで『安曇野市議会は廃止の考えだが、市議会議長会の総意には従う』と発言しているので、この問題については県市議会議長会に任せるのがスジ」、「全国議長会の結論もこれから、総務省の検討委員会では廃止案も答申のなかに出てきた、そんな時期に意見書を出すのはいかがなものか」といった趣旨の意見が大勢を占めました。

 賛同議員が4人いるので議員提出議案とする要件は満たしているが、全会一致で可決とはいかないので、「(否決されるとわかっていて)それでも議員提案するのか、提案者に確認する」ということになったようです。議運の会議が終わったところで、提案者代表の私は議長室に呼ばれました。議長から、議案を取り下げる意思はないか確認があったので、「議長会の結論はこれから。検討委員会では廃止案も出してきた。ならば、このタイミングで意見書を出すのが最も有効なアクションだと考える。議案の取り下げはしない」と伝えました。

 本会議での審議では、意見書提出に賛成の討論2名に対し反対討論は3名で、採決の結果は提案者の4人が賛成しただけで、あとはみな反対。議員年金制度の廃止を求める意見書案は賛成少数で否決となってしまいました。議運の様子から可決は難しいとは思っていましたが、それでも賛成議員10人ぐらいはいるだろうと予想していたので、4対23という結果に大いに落胆しました。

 議会閉会後の廊下での立ち話や懇親会場では、何人もの議員から「廃止には賛成だけど、議長の立場を考えるとね〜」とか「(意見書に)賛成すると言っていたのに、すまなかった。○○議員のことを考えると賛成しずらくて〜」、「個人的には当然廃止しかないと思う。でもね〜」と、わざわざ言い訳めいたことを聞かされました。
 結局のところ、市民の代表としての議員個人の意志よりも、議会の身内の論理に傾いてしった結果の否決ではなかったかと、非常に残念な思いが残りました。

◆地方議会議員年金制度の廃止を求める意見書の提出について
  反対討論と賛成討論