しかし、残念ながらこれまでの安曇野市議会では、知らないことを聞くだけの質問や、出たとこ勝負のわかりにくい議論、一方的に要望するだけの政策提案など、一般質問とはいえないようなものが少なくありませんでした。
傍聴に訪れたある人は、皮肉たっぷりに「質問するほうは何を質問しようとしているのかわからないし、答えるほうも何を答えればいいのかわかっていない。両方わかっていないので、聴いているほうはもう、何がなんだかよくわからないよ」と言ったものです。
「何を質問しようとしているのかわからない」、つまり議員自身が「何を質問したいのか」「どうして質問したいのか」「そもそも何が問題なのか」「どんな答えを引き出したいのか」等々、よく整理できていないのではないでしょうか。
私は一般質問するときには、次のような項目立てにより質問の構成を考えます。
(1)タイトル(質問の主題)
(2)動機づけ(なぜ質問しようと思ったのか)
(3)獲得目標(この質問で獲得したい答弁、実現させたいこと)
(4)何が問題か
(5)論点(解決方法)はなにか
(6)状況説明(現状はどうか)
(7)獲得目標に向けての根拠となる立論
(8)質問項目
これらをA4版1枚にまとめるのですが、そこまでにはもちろん現状を見たり、話を聞いたり、文献の調査や資料収集などしておくことが基本です。そのうえで、(1)から(7)までがしっかり書ければ、(8)の質問項目が自ずと絞り込まれてきます。そして、(6)と(7)をつなげれば、それがそのまま一般質問の原稿になるというわけです。
こうやって準備したからからといって、一般質問がうまくできるとは限りませんが、準備なしではダメだということは確かです。
以上、一般質問の「基本のキ」のようなことを書いたのは、市民タイムスに「市議会一般質問に23人、過去最多 事前調整案も」という記事が出たからです。私も取材を受けてけっこういろいろとしゃべったのですが、「実のある質問のためにも事前の調整は当然と思うが、勉強会を設けて知識を深めることも大切では」と無難にまとめられていたので、その真意をここに書いておこうと思ったわけです。
同じ質問項目がいくつも出てきた場合、角度を変えて質問するとか、内容によって分担する、譲り合うなど、話し合って調整することは、限られた議会の会期(時間)を有効に使うためには当然必要だと思います。ただし、事前調整するためには条件があります。議員一人ひとりが、自分の質問について「立論が出来ている」ということ、これが条件であり大前提です。先ほどの一般質問の組み立てでいうと、(3)獲得目標、(4)何が問題か、(5)論点(解決方法)はなにか、このあたりがしっかり把握できていることが重要です。
立論があやふやで、何を聞きたいのか漠然としている、これでは「事前調整」のしようがないからです。そこを無理して調整しようとすれば、こんどは会派間の「数の論理」に左右されかねません。事前調整が発言の自由を阻害するようなことになっては、元も子もありません。
取材記者にはもっと有体に「そもそも一般質問とは何か、何のために一般質問をするのか、質問して何を獲得したいのか、そういう基本的な事をわからないまま質問している議員が多いんじゃないか。わからないんだったら、勉強しなくちゃダメだよね。会派制だから、そこで指導体制がとれていればいいけど、どうなんだろう?私も議員になったばかりは見様見真似だったけれど、それにしたって良い手本がなければどうしようもない。やっぱり超党派で勉強しないと・・・」と話しましたが、これが「勉強会を設けて知識を深めることも大切では」の真意です。
これは議員個々の問題ですまされることではなくて、安曇野市議会全体の活性化に不可欠なことだと思います。