私は「新しい本庁舎建設は必要ない」を求める署名運動を進めているぐらいですから、粛々と進む本庁舎建設計画を苦々しい思いで見ているのですが、そんななか先月25日からは、いよいよ市民も巻き込んで「本庁舎建設ユニバーサルデザイン市民会議」がはじまりました。
この会議は、本庁舎建設の基本計画策定に向けて、市民の声を反映させようと企画されたものですが、市民会議とは言っても、これも委託された業者が市と一緒になって運営、取りまとめをしているので、形ばかりなってしまうのではないかと、私はあまり期待していません。
さて、そろそろ本題ですが、この本庁舎建設の基本計画策定の業務委託、プロポーザルによって業者を決めたことは前述の通り。委託した業務の詳しい内容や業者選定の経過を知りたいと思い、情報公開請求をしました。「安曇野市本庁舎等建設基本計画策定補助業務」委託事業の企画競争に係わる文書のすべて、という内容の公開請求です。
この規格競争に関しては、採用されたS社の企画提案書を入手していたのですが、「この内容で、どうして審査が通って採用されたのか」と疑問に感じたこともあり、情報公開してプロポーザルに参加した業者の企画提案書や審査・採点結果など較べてみたいと思ったのです。
公開された文書を見て、驚きました。S社の企画提案書ですが、公開されたもの(市が保有するもの)と私が入手したものとでは、10数カ所も違うところがあったのです。S社はこの企画提案書でプロポーザルに参加したはず、同じものが市にあるはずなのに、どういうことかと思い所管の本庁舎建設準備室に確認しました。
室長の説明はこうでした。「プロポーザルでS社に決定した後に、先々情報公開の請求があることも想定して、企業秘密など公開に差し支える部分を除いたものに作り直してもらった」「I社に“まる投げ”するような形に見える実施体制表は、“実際の体制に合わせた”形の表に変えてもらった」というのです。
私の請求に対して公開した文書は、この説明の「情報公開に備えて作り直してもらった企画提案書」だというのです。
「情報公開は公文書の原本をありのままに見せるもの。公開できないところはスミ塗りして、非公開部分がどこかわかるようにしておけばよい。情報公開用に、原本を変えてしまうなどとんでもないこと」と私が憤慨して言うと、「スミ塗りして出せばいいとは知らなかった・・・」と、信じられない言葉が返ってきました。あげくに「プロポーザルで審査したS社の企画提案書の原本は、会社に返却・破棄してしてしまったので市にはない・・・」とまで。
ベテランの職員がこんなミスを犯すとは常識的には考えられず、初歩的なミスにかこつけて何か隠したいことでもあるのかと、カングリたくなってしまいます。こんなことではプロポーザルの審査が公平公正に行われたのか、疑われても仕方ないと思います。
ただ、現時点ではプロポーザルについては疑いがあるというだけで何も断定できないので、情報公開に関して原本を改変したものを「原本」として部分公開したことについて不服申立てを行い、違法な処分が行われたことを明らかにしておく必要があると考えたのでした。
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安曇野市長 宮澤 宗弘 様
2010年8月3日
不服申立人 小林純子
安曇野市情報部分公開決定に対する不服申立書
次のとおり不服申立をする。
第1項 異議申立人の住所・氏名・年齢
住所:〒399-8301安曇野市穂高有明2104−10
氏名:小林純子 56歳
連絡先電話:0263−83−4387
第2項 異議申立に係る処分
2010年7月29日付けの異議申立人に対する、部分公開とする処分(22計画担第Aア−11第24号)
第3項 異議申立に係る処分があったことを知った年月日
2010年7月30日
第4項 異議申立の趣旨
安曇野市長は、異議申立人の「安曇野市本庁舎等建設基本計画策定補助業務」委託事業の企画競争に係わる文書のすべて、に関する情報公開請求に対して、部分公開とする処分の決定をしたが、実際に部分公開された「安曇野市本庁舎等建設基本計画策定補助業務の企画提案書」は原本を部分公開したものではなかった。原本を改変したものを「原本」として部分公開したものであり、これは情報公開条例に違反した処分である。したがって、安曇野市長は、安曇野市情報部分公開決定通知書(22計画担第Aア−11第24号)にある通り、当該公文書(「安曇野市本庁舎等建設基本計画策定補助業務の企画提案書」)の原本をもって公開すべきである。
第5項 異議申立の理由
(1) 異議申立人は、2010年7月15日、処分庁(安曇野市)に対して、情報公開条例に基づき、「安曇野市本庁舎等建設基本計画策定補助業務」委託事業の企画競争に係わる文書のすべて、について情報公開請求をした。
(2) 処分庁(安曇野市)は、2010年7月29日、上記(1)の請求に対し、安曇野市情報部分公開決定の通知をした。
(3) しかし、本件処分は、次の理由により条例違反である。
本件処分については、安曇野市情報公開条例第7条(実施機関は、公開請求があったときは、公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかに該当する情報が記録されている場合を除き、請求者に対し、当該公文書を公開しなければならない。)に違反している。
なぜならば、市は、当該公文書ではなく、当該公文書を改変したものを原本と偽って部分公開したからである。第7条でいう「公開」とは、公文書の内容をあるがままに示し、見せることであり、改変したものを公文書の原本として公開することは、公文書変造であり情報公開請求者を欺く行為として許されないことである。
(4) 以上から、本件処分に至る原因は安曇野市にあることを認め、情報公開条例を適切に運用するよう求めて本申立をするものである。
第6項 処分庁(安曇野市)の教示の有無及びその内容
「この処分に不服がある場合には、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、市長に対して異議申立てをすることができます」との教示があった。
以上