さて、そこで本日表題の「本庁舎建設の是非を問う住民投票の提案」について、先に報告することにします。 宮澤市長は本庁舎建設の住民意思は確認済みとしていますが、2008年12月のアンケートは平林市長当時に実施したもので、建設の賛否そのものを問うてはいませんでした。市長選公約では「既存の施設を有効活用して必要最小限の本庁舎」と言っていましたが、建設地選定に手間取るうちに、60億円と聞いていた建設費は80億円にも膨らんでしまいました。
厳しい経済状況が続くなか市の税収は減る一方、少子高齢化は進みそれに伴い自治体の財政需要は増えていきます。将来に対する市民の不安は、これまでになく大きくなっています。そんなとき、合併特例債を当てにして先を急ぐだけの本庁舎建設計画で、はたしていいのでしょうか。市民としても本庁舎建設の是非について、行政任せではなく真剣に考えなければなりません。そして、きちんと意思表示をすることが大切です。そうした住民自治の意識、それこそが安曇野市の一体感を高めるのであって、本庁舎が一体感を作ってくれるわけではありません。
しかし、9月定例議会では、安曇野市議会として「本庁舎建設促進を求める決議」を可決(※1)。また、「新しい本庁舎建設は必要ない」を求める請願書は不採択となりました(※2)。市長は、一般質問の答弁で「本庁舎建設の賛否を問うアンケートや住民投票はするつもりはない」と断言。強引に建設賛成の「住民意思」を形作ろうとしています。
こうなると、住民投票条例を議員提案しても可決・成立する可能性はありません。このうえは、住民の直接請求による住民投票条例制定を目指すしかないと考えます。市民のなかからも「住民投票で決めたい」「どうすれば住民投票ができるのか」という声が聞かれます。6年前の「穂高町が合併することについての可否を問う住民投票条例」の直接請求の経過を知る人からは、その経験をふまえて「本庁舎建設の是非を問う住民投票」の提案をしようとの機運が高まっています。
住民投票は直接民主主義のための大切な市民の道具です。これが有効活用されるよう市民に知らせ、実現に向けてのバックアップするのも議員の重要な仕事だと、私は考えています。
本庁舎建設について審議会や議会でほぼ議論が尽くされ、基本計画もまとまり市民に十分な説明と情報公開ができるところまで来た今こそ、住民投票を行うに最適ではないでしょうか。宮澤市長が「アンケートや住民投票をするつもりはない」と言うのは、実は建設に迷いがあるからではないでしょうか。結論を迷う時はむしろ、首長にとっても住民投票は効果的な手段であると思います。
ここは、みんなで「本庁舎建設の是非を問う住民投票」を考えてみてはどうでしょうか。
◆地方自治法第74条(条例の制定・改廃の請求)
有権者総数の50分の1以上の署名をもって、その代表者から自治体の長に対し、条例の制定・改廃を請求することができます。この請求がされたときは、自治体の長は、直ちに請求の要旨を公表し20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を代表者に通知して公表しなければなりません。請求の代表者には、議会が審議を行うときに、意見を述べる機会が与えられます。
※1 反対したのは私を含め7人
※2 採択に賛成したのは私を含め7人