請願第14号「地方自治体において明確にされた住民意思を尊重し国家政策に反映することを日本政府に求める意見書提出に関する請願書」は総務委員会の審査では、残念ながら不採択でした。3月22日の議会最終日、採決にあたって、この請願の紹介議員となった私は採択に賛成する討論を行いました。
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請願は、採択されても、行政としてはそれを実施する義務を生じるものではありません。であればこそ、民主政治のもと、議会は請願の趣旨を十分に尊重し行政に反映させるよう努力しなければならないのであって、「実現の可能性があるか」「財政の裏付けがあるか」「法令上の合理性があるか」など、行政側の事情に重きを置くような判断にならないように、注意を払って審査をすることが大切です。
委員会審査の報告は「一地方自治体のなかで判断するには非常にむずかしい問題であり、地方議会が議論する範囲ではない」というものでしたが、本請願は、名護市だけの問題ではなく、沖縄だけの問題でもなく、この国のすべての地方自治体が共有すべき大きな問題を指摘したものです。請願のきっかけは、1年前の名護・市長選挙の結果を受けて、当時の平野官房長官から「国は政策を決めるにあたって、住民の意思を斟酌する必要はない」と発言したことによるものだということは確かですが、あくまでもきっかけであり、その核心は「憲法が構想している本来の地方自治・民主主義の要となる地方自治を実現するために、国は地方自治体において明確にされた住民意思を尊重することは当然のことである」というところにあります。
憲法95条には、住民投票の定めがあり、これは国が特定の地方公共団体に対し、不利益を課すような法律を安易に制定することを防止するために規定されているものです。過去に投票・制定の実例もありますが、国家政策の都合によるものか、もうながいこと忘れられたような扱いになっています。
地域主権の流れのなかで真の地方自治を実現するためには、この憲法95条の精神を取り戻し、地方自治体において明確にされた住民意思を尊重し国家政策に反映させていくことが必要です。よって、この請願を原案通り採択することに賛成します。
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憲法改正問題というと第9条(戦力不保持、交戦権否認)の扱いで、これはひろく国民の関心を集めているところですが、この第95条(住民投票の定め・国が特定の地方公共団体に対し不利益を課すような法律の制定を防止する)については、憲法に住民投票の条項があることさえ、ほとんど知られていません。
国民主権、地方自治と切り離せないこの重要な95条は、自由民主党の「新憲法草案」(2005年発表)では9条とともにバッサリ削除されています。ここのところは要注意です。憲法は主権者たる国民が国家に約束させるもの、国家権力に縛りをかけるための法です。95条をなくしてしまうなんて許してはいけないことだと思います。国家のためにわたしたちが存在するのではないのですから。