防音壁問題の請願は継続審議に/北小倉の廃棄物処理施設

~市民ネット横地泰英さんから届いた傍聴記です~

長野県の現地調査(2013年2月25日実施)の結果報告書

 「係争中」ということばは行政には便利なことばです。この一言をもって答弁を拒否することができるのですから。裁判になっているといっても、争点とは直接関係しないことについては答えられるはずなのに、「係争中」を使うことも多い。苦々しい思いでいたら、このごろでは議員までこの言葉を使うようになってきました。「係争中の案件だから、議会(議員)として判断することは控える・・・」というのです。

 今回の環境経済委員会で審査した防音壁問題の請願についても、「係争中なので継続審査に」ということになったのですが、はたしてそれで本当にいいのでしょうか。
 シロクロ付けるのはもちろん裁判所ですが、市民、議会(議員)、行政、それぞれの考えや判断があってこその裁判所の判決。議会(議員)の考えを明らかにしないまま司法の判断に委ねる、任せるというのでは、その方がよほど無責任ではないでしょうか。
 以下、安曇野市を考える市民ネットワークの横地泰英さんから届いた傍聴記です。ご覧ください。

◆防音壁問題の請願は継続審議に/北小倉の廃棄物処理施設

 環境経済委員会は19日午後、市民環境部関連で三郷北小倉の産廃処理M社の防音壁について住民から出されている早期解決請願について審議した。請願は10年以上前からの経緯や防音壁の危険や、水質汚濁、騒音、悪臭被害を訴えたうえで①議会として現場を見学し見解を示してほしい②市の調査結果が出たら、住民調査と比較検討を市に働きかけてください③安全性が不十分と判明した場合、住民が安心安全に暮らせるよう市に働きかけるなどの対処をしてくださいーと求めた。

 環境経済委員会は請願内容について、委員長と委員が住民代表に対し事実関係を細かに質疑。請願者は業者の申請書類に対するこれまでの県の審査に不信を表明した。市民環境部長は「6月11日に民間業者に防音壁について実態調査してもらった。7月末報告がある。構造計算書も比較し、真実が明らかになるだろう」と答えた。また、M社の県申請図面、書類に事実と異なる記載があることについて「不一致があるのは事実」と認めた。

 このあと環境経済委の議員がそれぞれ態度表明。黒岩宏成委員は「請願内容は安全性が大事。(裁判で)係争中であり、十分な審査が必要。7月下旬には市の検査結果も出る。継続審査をお願いしたい」と提案した。これを受けて小林純子委員は「継続の考えはあろうかと思うが、請願内容は行政に対してでなくすべて議会に対して求めており、議会として今すぐできることばかりだ。継続審査にすべきでない」と述べた。吉田満男委員も「同じ判断。早めに解決するため議会が即刻結論を出すべきだ」と述べた。

 継続に賛成は2人で2-2となり、丸山祐之委員長は「2対2ということで、規則に従い委員長が判断し、本件は継続とする。①~③の請願事項には議会の権限外部分があり、議会として実現困難。部分採択もありうるが係争中でもあり、継続とすべきと決定する」と述べた。小林委員は委員長が現場の見学を〝権限外〟としたことについて「内部には立ち入り権限はないが、外部から見ることはできるし、目視により問題個所はわかる」と指摘したが、委員長は「すでに決定した」と答えなかった。
(まとめ=安曇野市を考える市民ネットワーク 横地泰英)