子宮頸がん予防ワクチン接種の積極的勧奨を一時差し控えることについて

~厚生労働省の検討会は14日、一時的に接種の推奨を控えるとの意見をまとめた~

 

 「平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」の意見を受けて、厚労省は自治体に対し「定期接種は中止しないものの、自治体に接種対象者に案内を出さないよう求める」ことを通知しました。安曇野市でも次のようにホームページでお知らせしています。
◆子宮頸がん予防ワクチン接種の積極的勧奨を一時差し控えることについて  安曇野市のホームページより http://www.city.azumino.nagano.jp/faq/kenko/t104040020130617.html

安曇野市議会だより第22号 市民の声のページ

・子宮頸がんワクチン、判断丸投げ? 推奨中止に戸惑い(朝日新聞DIGITAL)
・ワクチン接種 勧奨中止の波紋(NHKweb特集) 子宮頸がんワクチン:製薬会社に厚労省「体の痛み記載を」(毎日新聞)
・子宮頸がんワクチン推奨中止で波紋 2013年6月18日 (読売新聞 長野)
・ 「接種の勧奨中止」混乱させず、情報提供を(高知新聞 社説) 「国は早く適切な見解を」 
・子宮頸がん積極勧奨中止 県内市町に困惑(下野新聞)

 新聞の見出しを並べてみただけでも、厚生労働省が自治体に判断を「丸投げ」していることががよく分かります。推奨中止に戸惑っている自治体の姿に、国に頼り切っている危うさを感じます。

 今年2月、2011年に東京都杉並区でワクチン接種を受けた中学生に、重い副反応が出ていたことが分かったと、奥山たえこ区議会議員から情報が入りました。(奥山議員とは「む・しネットで勉強した仲間です)
 3年前にこのワクチン接種に公費助成をという請願があがった時は、私も「これは女性にとって大きな福音だ」ぐらいに思ったのですが、すぐに疑問点が取りざたされるようになり、この4月からの定期接種化は問題だと心配していたところでした。

 そこで、3月議会の予算質疑で子宮頸がんワクチンの定期接種に関する委託料について聞きました。以下、議事録からその質疑のやり取りの一部です。
◆14番(小林純子)  予防接種法の改正によって、2013年度、本年度から子宮頸がんワクチンが定期接種となる。しかし、以前から指摘されているように、このワクチンの効果に疑問があること。3回接種が必要で5万円という高額なこと。強い副反応被害の報告も上がってきていること。等々、問題点がある。予防接種法の改正(定期接種化)により、安曇野市はこれまでどおり積極的にこの子宮頸がんワクチン接種を行っていくのか。

◎健康福祉部長(飯沼利雄)  子宮頸がんワクチンについては、この25年4月から定期接種になる。現在、子宮頸がん予防ワクチンについては、23年2月から国のワクチン接種緊急促進事業によって補助を受け、中1から高1の女子を対象に公費で接種を開始している。日本での導入はまだ日が浅いが、海外では広く行われており、その効果も20年以上続くと推計されている。  ほかのワクチン接種に比べて、痛みやそれに伴う湿疹の報告も多く、全国では転倒でけがするなどの事例も報告されている。医療機関でも事故対策をとって対応に当たっている。市内の接種者は対象者の9割を超えているが、副反応の報告はない。  ただ、副反応の可能性も当然ある。4月からは法によって市が接種を行うこになるので、親子で体の大切さについて十分話し合ってワクチンの功罪をきちっと話し合ってもらうように、今まで以上に情報提供に努めていく。

◆14番(小林純子)  ワクチンの効果について、国はこの効果が20年以上続く言っているが、これには疑問がある。サーバリックスというワクチンの一例を上げると、製薬会社の説明書には、効能効果に関連する接種上の注意の中に、「持続期間はどれくらいかは確立していない」と書かれている。臨床成果については、海外での臨床成果しかなくて、現在までに「1回の接種後、最長6.4年間、平均追跡期間で約6年間、予防効果が持続することが確認されている」とあるが、20年以上という数字はない。この製薬会社が報告している6年という予防効果があるとしても、10歳から15歳の少女が接種を受けて、では、実際子宮頸がんの罹患率が上がってくる30代、40代、50代にはその効果は及ばないということになる。  それから副作用がかなり重篤なものも出ているということ。そういったリスクも含めて、この定期接種に向けてはこれまで以上にしっかりとした説明を保護者に行った上で、接種をするかしないか選択できるようにする必要があるのではないか。

◎健康福祉部長(飯沼利雄)  市としては積極的な接種勧奨することは特に予定をしていない。あくまでも「希望によって受ける」ということで進めていく。今までも十分に説明をし、(任意であっても)同意を得て接種を選択して受けている。今後もその点については変わりない。  副反応についても、対象の皆さんには個人通知をして同意をいただいた場合のみ接種するという形にしたい。  このワクチン接種については定期接種に移行するに当たって、国から子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施についての一部改正という形で、この要領が出ている。この要領でも、その危険性を知らせる等々があるので、これに沿ってきちっと対応していく。
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2年前のワクチン接種開始にあたっては、山地議員が一般質問で取り上げています。「接種を受ける女の子は子どもであるがために、主体的に接種を選択できない。 情報の徹底開示によって、ワクチン禍を防ぐよう求める。」という点がポイント。
 ↓安曇野市議会だより第22号
http://www.city.azumino.nagano.jp/gikai/tayori/022.files/no22_all.pdf

 また、同号の最後のページの「市民の声」欄に寄せられた記事に、「3人の娘が いる親として疑問があります。安曇野市でも子宮頸がんワクチンの無償化が始ま りましたが、効果がどのくらい持続するのか不明なうえ、日本で認可されている ワクチンは日本人に多く発症するタイプの子宮頸がんにはあまり効かないと言わ れています。すべてのワクチン接種には死亡例も含む副反応があります。任意で はあるけれど、無償だからと接種を受けるのは、無防備で安易だと思います。」という内容があります。

 この議会だよりの編集長だったわたしは、子宮頸がんワクチン接種に積極的な議員から「安曇野市でワクチン接種を決めたのに、こんな偏った内容の記事を載せるわけにはいかない」とクレームが付き、掲載の調整に苦労したことを思い出しました。

 厚生労働省の検討会の見解が出て、一時的にであれ接種の推奨を控えることになった今、「市民の声」欄に記事を寄せてくださったお母さんの判断は正しかったということになります。それに比べていかに当時の私の判断は甘いものだったか、反省しきりです。