有人ヘリ農薬散布で安曇野市説明会 19日に実施/児童への影響など懸念も

2014年5月28日市民タイムス記事

~安曇野市を考える市民ネットワーク・横地泰英さんから届いた学習会のレポートです~

 安曇野市は、松枯れ対策で有人ヘリによる農薬空中散布を明科東川手の岩洲公園周辺で6月19日に実施する。2014年5月31日に明科公民館で開いた説明会であきらかにした。参加した市民約50人からは「発達障害などが増えている児童への影響が心配だ」など懸念が示された。市は「登校時間などを市教委と検討する」などと答えたが、「散布の日は休校にすべきだ」という指摘もあった。

 岩洲公園は明科・生坂村境の景勝でマツタケの産地。松枯れが出始めている。市によると、今回の散布は、尾根筋の1㌔余りに40㍍幅で7.5倍に薄めたネオニコチノイド系農薬150㍑を散布する。19日(木)午前6時半~7時を予定しており、防災無線などで住民に周知する。市農林部は「散布前後の大気中農薬濃度、河川の水質などを測定し、昆虫などへの環境影響も調べる」などと説明。今回は試験散布で、3年間実施し、その結果を見て効果を判断し、その後の継続を決めるという。
 散布時刻は気象条件などで変動する。またヘリは県南部から北上してくるため日程にズレが生じる可能性もあり、20~26日を予備日に設定している。

 この説明に対し市民からは賛否多様な意見が出た。押野で保育施設を運営している女性は「園児を毎日5時間、年間200日預かっている。マツが大事なことは理解するが、子どもたちの健康被害が心配だ。原発被災の福島など県外から移住した保護者もいる。作物や養蜂への影響など詳しい説明を求める」と質問。
 市は「作物への影響は、乾けば問題ない。ミツバチはいまニセアカシア吸蜜が最盛期だが、空散時期は花に農薬はかからない。個別説明会も、連絡いただければ対応する」などと説明。

 増田望三郎市議は「私も移住者。安曇野の景観に魅せられた。岩洲公園の大切さは分かる。しかし、頭の上から農薬。ガス化し、それを吸う。良くないものを撒く…。私は自分たちで行動し安曇野の自然を守りたい。全国から安曇野に集まる人たちが山に入り、例えば樹幹注入にトライしたらどうだろう」と提案。市は「市民からのサポートも検討する」と答えた。

 潮沢の住民は「空中散布が基準を満たしていても100%安全とも言えず、不安を払拭できない。19日という日にち、散布時間が通学と重なる。曜日・時間に十分な配慮をしてほしい」と述べた。
 これに対し市農林部は「教育委員会と相談し、登校時間への配慮をお願いする」と答えた。これに対し小林純子市議は「空中散布の日は、通学時間を繰り下げるよりも、休校にするべきではないか。時間を置くと薬剤がガス化し、吸う危険が高まる」と指摘。市は「関係部局で調整する」とした。
(まとめ=安曇野市を考える市民ネットワーク・横地泰英)

 私も、この説明会に行ってみました。(1)空中散布の是非を判断するに充分な情報提供がなされていなかった。(2)空中散布の実施に当たって、大前提とされている「地域住民の合意」がはなはだ曖昧。そして何より、実施決定してからの説明会では納得いくはずもありません。
 農林部はこれまで、空中散布にはとても慎重な対応をしてきたのに、「地元住民の要望」これが最優先して空散実施の流れになっています。市議会が「薬剤の空中散布の推進を提言」したことが影響しているのか、地元議員が強力に空散推進しているためか、この急展開はとても残念です。