権力を持てばこそ、謙虚であらねばならない


安曇野市議会だより第35号の議会報告会のページ

~議長の「侮辱発言」を議員たちはどう受け止めたのか~

 8月6日発行の安曇野市議会だより
、ご覧いただけましたか。5月に安曇野市議会として初めて実施した議会報告会の記事が、3ページにわたって掲載されています。

 この報告会の反省とまとめの段階で、議会改革推進委員会の委員長を辞めることになってしまった私は、市議会だよりの記事にはほとんど関わることができませんでした。はたして、堀金会場で議長が市民に向かって「侮辱発言」したことへのお詫びの言葉はあるのか、とても気になっていたので真っ先に関連記事に目を通しました。予想はしていましたが、お詫びの議長コメントはありませんでした。

 市議会だより発行に先立つ7月9日の議会全員協議会(全協)では、議会報告会の反省会が行われましたが、その時、議長の「侮辱発言」について、どのような受止めがされていたのか振り返ってみます。
 「侮辱発言」に誰もふれないまま反省会が進んでいくなか、増田議員が「堀金会場での市民発言には『議員の方々は勉強が足りない』というような表現があり、侮辱されたと受け取ることもできるが、私自身はこの発言は議会へのエールや激励と感じたので、議長から侮辱という言葉が出たのにはビックリした。会場も(議長に対する抗議の声で)騒然となり、(議長が侮辱発言を撤回したものの)市民と議会の溝ができてしまったように思う。もっと市民の意見に耳を傾ける謙虚さが必要ではないか」と発言したところ、議長は「『小林議員や共産党の一部の議員はよくやっているが、ほかの議員は勉強もしないで(一般質問)している。そんな議会なら無くてもいい』と言っている。(こんなことを言われて)黙っていますか、皆さん」と、逆に議員たちに投げ掛けたのです。

 それに呼応するように小松芳樹議員から「これは、議長として25人の議員を守ってもらったと思っている。不適切な発言だったかもしれないが『長という立場で(配下のものを守り)侮辱しないでくれ』という発言だったと思う」と議長擁護の意見が出て、そこから先は議長の「侮辱発言」について言及する議員はいませんでした。

 その後の議論は「侮辱発言」につながるような意見を言った市民と、その市民を裏で操っている議員がいるのではないかという憶測に終始し、ついには議長までもが憶測の域をを出ない話で私に対して「信頼関係を崩すようなやり方はやめてもらいたい」と非難の言葉。

 もともと事実に基づかない勝手な思い込みから出た話を、全協という公の会議で俎上に載せておきながら、「議会報告会の反省という本筋から外れるから」と、私は反論することも許されず。その流れのなかでは「(議員個人の)支援団体や後援会に動員を掛けて、議会報告会で発言させて混乱させるようなことがあり、大問題だ!」という意見が、誰のことか特定していないにもかかわらず、「小林純子のことを指しているらしい」ということになってしまいました。そして、このことが議会改革推進委員長辞任のきっかけになったことは否めません。

 結局今に至るまで、議長からは反省の弁はありません。
 市民の代表である議員、それら議員の代表であり議会の長である議長は、市長に並ぶ権力者。その権力は市民に由来するものであり、市民のために正しく権力を行使することで、市民からの信頼を得て、そこで初めて権威というものが認められるのです。市民に対して権威を振りかざし、侮辱発言と断ずるようなことはあってはならないのです。権力を持てば持つほど謙虚になって、市民の声に耳を傾ける。「権力を持てばこそ、謙虚であらねばならない」、これが議長に求められることです。