安曇野市議会のモラル確立に関する決議

安曇野市議会のモラル確立に関する決議

~なぜ今!?~

 このところ新聞やテレビを賑わしている小渕経済産業相と松島法相の「ダブル辞任」のニュース。政治資金規正法や公職選挙法違反ではないかと責任を問われたかたち。
 安曇野市議会でも「議員の寄付行為に公職選挙法違反の疑い」、「政務活動費の領収証に架空記載の疑い」といった問題を抱えており、どういった対処をすべきか考えさせられることしきり。そして、それにつけても苦々しい思いを拭えないでいるのは、9月定例議会で「安曇野市議会のモラル確立に関する決議」が上がったこと。だいぶ時間がたってしまいましたが、ここで振り返って記しておきたい思います。

 9月17日の本会議。議案質疑と請願の提案説明が終わったところで、小松芳樹議員(公明党)が「安曇野市議会のモラル確立に関する決議」の動議を提案。この動議に賛成の議員が多数あり、議題として審議されることになりました。
 9月議会の会期が29日まであるなかで、わざわざこの日、動議によって緊急に決議を上げなければならない事情は何だったのか。
 後でわかったことですが、無所属議員が議長に対し「政務活動費に関する透明性の確保と説明責任の徹底を求める申し入れ」をする前に、「モラル確立に関する決議」を上げておきたい議員が多数いた、ということらしいのです。どうりで、申し入れを考えていた無所属議員3人には、決議案に関する事前の相談がなかったわけです。

 モラル確立に反対する人は誰もいません。しかし、なにかはっきりしないこの決議。市民からの追及をかわすために、また安曇野市議会が指摘されている問題を解決済みと印象付けるために提案されたとしか、私には考えられませんでした。

 公職選挙法に抵触する寄付行為があったのか、安曇野市議会内ではまだ事実関係(注1)が確認されていません。また政務活動費の使途への疑惑(注2)についても、議会として説明責任を果たしていません。そのような段階で「モラル確立に関する決議」を上げるのはおかしいと考え、次のような反対討論を行いました。

【小林じゅん子の反対討論】
「議会基本条例の第9章 倫理規定を遵守するということで言えば、そもそも議会基本条例は何のために制定したのか。一々このような決議を上げなければ守れない状況に我々議会議員はあるのでしょうか。決議を上げる前にすべきことがあるはず。きょう動議を出されて、その場でこの決議を上げるような、そんな急ぐ必要もないし、それ以前にこの決議を上げるに足る安曇野市議会の対応と共通認識をもってから決議を上げるべきだと考えるので、現時点での安曇野市議会のモラル確立に関する決議を上げることには反対します」

 これに対し、「この問題のきっかけとなった事(注1)について、社会通念上許される範囲と思っていたこともあったが、県の選管なり、あるいは県警なりに結論を出してもらったという認識である。綱紀の粛正と倫理規程に基づいて、あるいは公選法に基づいて活動しようという意思を持って、法令遵守の決議に賛成する」という賛成討論がありました。

「安曇野市議会議員、心を持っているよね。型にはまった倫理規定でガチガチでやるのも正しいが、心を持って市民と接するのも正しいと思っている。だから、ここでモラルの確立に関する決議をしっかり守っていけばいい」といった、意味不明の賛成討論もあったことを付け加えておきます。

(賛成多数でモラル確立に関する決議は可決)

(注1)「市議が市に〝陣中見舞い〟」議会報告会で市民指摘(その1)
(注1)「市議が市に〝陣中見舞い〟」議会報告会で市民指摘(その2)
(注2)政務活動費に関する透明性の確保と説明責任