西洋民藝の粋-生活を彩る道具たち-村田コレクションから

~長野県・信濃美術館の企画展でお目見え~

村田コレクション企画展・信濃美術館

村田コレクション企画展・信濃美術館

今夏、8月5日の信濃毎日新聞に、『紆余曲折経てついに公開へ 安曇野で「村田コレクション」』という記事が掲載されました。市民タイムスにも一面で大きく取り上げられたので、覚えていらっしゃる方もあるかもしれません。「ついに公開へ」の文字に、私は複雑な心境でした。

なぜなら、村田コレクションにまつわる旧豊科町の行政責任が明らかにされ、30年に及ぶ争いと混乱に終止符が打たれ、村田新蔵氏の名誉回復が図られることと、村田コレクションが公開され学術的な調査、研究、活用がなされることを願って、私はこの数年間、安曇野市や財団に働きかけてきたからです。

信毎の記事によれば、「安曇野文化財団は(8月)13日から、「村田コレクション」と呼ばれ、財団が管理・保管する欧州家具を中心とした民芸品を、安曇野市豊科近代美術館の外収蔵庫で一般公開する。これに先立って4日、財団関係者対象の内覧会を開いた。これまで民芸品の所有権を巡る寄贈者と旧豊科町側との争いがあり、市民の目に触れる機会が限られてきた。その後、専門家による鑑定などを経て常設展示が実現した。・・・」ということで、あくまでも「収蔵庫での展示」であり、どこまで本気で公開に取り組んでくれるかはわかりません。

というのも、安曇野文化財団の基本財産とされる西洋の古道具・民芸品は699点ありますが、これらは未整理で展示資料として価値のないものも混在しており、村田新蔵氏が個人所有していたコレクションと合わせて一体的に扱わなければ、「村田コレクション」としての価値は半減するといっても過言ではないからです。「一体的に扱う」ことについて、財団と村田氏(現在は夫人の村田陽子氏が引継いでいる)との調整が難航している、というのが実情です。

そんななか、村田新蔵氏が個人所有していたコレクション、いわば純正「村田コレクション」が、信濃美術館の企画展でお目見えします。題して「西洋民藝の粋-生活を彩る道具たちー村田コレクションから」。10月27日 (木) ~ 12月11日 (日)までです。

◆企画展 西洋民藝の粋-生活を彩る道具たちー村田コレクションから
http://www.npsam.com/exhibition/detail/essence-of-western-people-arts

信濃美術館のホームページを見ると、この企画展の後援団体がわかるのですが、「長野市、長野市教育委員会、長野県芸術文化協会、長野商工会議所、善光寺、長野県美術教育研究会、(公財)八十二文化財団、(公財)ながの観光コンベンションビューロ、JR東日本長野支社、信濃毎日新聞社、テレビ信州」とある中に、安曇野文化財団の名前はなく、非常に残念な思いがします。

ちなみに、来年は日本民藝館でも村田新蔵氏が個人所有していたコレクションから、椅子や家具の企画展が予定されています。
もともと、村田コレクションの展示のために作られた豊科近代美術館で、村田新蔵氏が生涯をかけて築いたコレクションが、いつでも見られるようになるのは、いつのことになるのでしょうか。

村田コレクション関連記事
◆公益法人安曇野文化財団の基本財産(村田コレクション)の活用について
http://junko.voicejapan.net/blog/2013/01/08/4317/

◆犬が星見るとは 2011年06月21日小林じゅん子の種まきブログより
本日の一般質問で市長に聞きました。
http://tanemaki55.exblog.jp/16159877/

◆ひっそりと華やかに 2011年9月12日小林じゅん子の種まきブログより
安曇野市豊科近代美術館 秋の特別展「西洋の庶民生活家具展」が始まりました。
http://tanemaki55.exblog.jp/16546427/