安曇野市の「香害」啓発ポスターに大反響

~化学物質過敏症は言うに及ばず、困っている人はこんなにいる~

香料等自粛ポスターのサムネイル

香料等の使用自粛を呼びかけるポスター

芳香剤や柔軟剤などに使われている香料には、多種類の危険な合成化学物質が使われており、その健康被害については、化学物質の影響を受けやすい発達期の子供には特に注意が必要です。日本では、まだ香料や香りの有毒性に対する認識が薄く、国の規制を待っている間に被害が広がってしまうおそれがあります。ならば、市民生活に一番近い自治体が、「香害」の啓発や柔軟剤など合成香料を多用した製品の使用自粛を呼び掛けるべきと考え、一般質問で取り上げたのは昨年の6月のことでした。

まだそれほど深刻な被害は出ていないという答弁でしたが、これは被害がないというより被害として認識されていないからではないかと疑問に思いました。「においのことでは個人差もあるし、これが健康被害だとかなかなか言えない」、「いいと思って使っている人に、話題にするのは気が引ける」というような、香害が表面化しにくい事情があるのです。

香害は、柔軟剤の香りそのものの害と、この香りを持続させる、香りをとれにくくするために使われているマイクロカプセルの材料にイソシアネートという猛毒の化学合成物が使われている問題があります。特に心配なのは、発達段階にある子どもたちの脳神経に、鼻から直接その有害物質が届いて悪い影響を与えるということ。これを市として情報発信し、その危険性について知らせてほしいと訴えました。

その結果、保護者や業者の方など来校される方へ呼びかけるポスターを学校の玄関へ掲示すること、また保護者向けのチラシを作成し配布することが決まりました。夏休み前には、教育長名で「香料についてのお願い」の通知が、全小中学校に配布されたのでした。その後、ポスターについてはなかなか進まなかったのですが、新年度を迎えたこの4月、健康推進課がポスターを作製し市内公共施設で掲示するようになりました

これを、私のフェイスブック(SNS)で発信したところ(4月25日の 23:54に書き込み)、24時間後に「いいね!」113件、コメント13件、シェア28件にもなっていて、反響の大きさにびっくり。48時間後の現在、「いいね!」210件、コメント34件、シェア90件で、シェアされた先でも拡がっており、香害に困っている人、苦しむ人がこんなにたくさんいるんだということを実感し、問題の深刻さを再認識しました。

この反響の大きさを保健医療部長へお知らせし、保育や教育など子どもたちが集まる場所にこそポスター掲示が必要ではないかということで、庁内の横の連携をという話もできました。

現在、香害の啓発ポスターを掲示しているのは、以下の公共施設ですが、子ども園や学校にも広げていく必要があります。

・豊科保健センター
・穂高保健センター
・三郷保健センター
・堀金保健センター
・明科保健センター
・本庁舎
・穂高支所
・三郷支所
・堀金支所
・明科支所
・豊科公民館
・穂高交流学習センター(図書館)
・豊科交流学習センター(図書館)
・明科交流学習センター(図書館)

殺菌、除菌、消臭、防臭と、行き過ぎた清潔志向と、それをあおるような製薬会社や洗剤メーカーのTVコマーシャル。これら洗剤や柔軟剤等のメーカーは、大口スポンサーですから、「香害」についてマスメディアはあまり取り上げてきませんでした。

国も、柔軟剤と健康被害の因果関係が証明できないということで対策に消極的です。このうえは、市民の近くにいて香害の実情がよくわかっている自治体が、そしてメーカーからの影響を受けにくい自治体が、市民ファーストで動くしかないと思います。

安曇野市の取り組みにより、広く市民の皆さんにも「香害」を知っていただき、被害を遠ざけること、そして香害をもたらす製品の規制を求めることにつながればと期待しています

日本消費者連盟の情報によれば、「柔軟仕上げ剤、消臭・除菌スプレーの成分は、家庭用品品質表示法の指定品目に入っていないため、現段階では香料成分も含めて製品の全成分表示義務はありません。洗濯用合成洗剤は指定品目に入っていますが、香料に関しては詳しい成分の表示義務はありません。製品に使用されている香料が、一括して“香料”と記載されているため、香料にはアレルギ―成分が多いにも拘らず、個々の成分が不明で、危険な成分を含む製品を避けることができません。とくに近年、香料を包む膜剤、アロマカプセルの使用に関して、そのマイクロカプセルの素材の有害性について消費者の懸念が高まっています。」

地方議会のなかには、成分表示を義務付ける要望書・意見書を国に上げているところがあります。安曇野市議会からも意見書が提出できないか、考えています。