公立保育園へICT利活用事業を導入するにあたり、無線LAN使用について慎重に検討することを求める陳情
~電磁波過敏症、日本でも今後の増加が心配~
安曇野市では、国や長野県のICT利活用の推進方針により、市の認定子ども園でICT利活用の試験運用が始まることになりました。出欠席の連絡、確認や保護者との連絡にスマホやタブレット端末を使うことや、3歳未満児のお昼寝布団にセンサー付マットを敷き心拍数、呼吸数、体温などのデータを可視化し、突然死の防止や保育士の労働軽減につなげるというICT利活用の試験運用のために、保育施設にWi-Fiを設置することになります。
時代は5G超高速通信へ、スマホやWi-Fiの普及に何の疑問も持たず便利に使っている人が多いですが、電磁波による健康被害は無視できない状況になっています。日本における電磁波過敏症の人の割合は3.0% ~ 4.6%。これは、北條祥子・尚絅学院大学名誉教らの疫学調査のデータですが、北條名誉教授は「多くの電磁波発生源に囲まれて生活している現代では誰がいつ発症してもおかしくない。こういう健康障害があるということを認識し、気を付けて生活すれば発症は未然に防ぐことができると思う」と語っています。
100人に3~5人が電磁波による健康被害を実感しているということでは、けっして少ない数字ではないなと思い、私の友人、知人に電磁波のことを投げかけてみたら、けっこう反響がありました。私自身はこれまで、電磁波の(健康に対する)影響をまったく感じていなかったので、「電磁波に弱いのよ!」という人が身近にいることに先ず驚きました。そして、「多くの電磁波発生源に囲まれて生活している現代では誰がいつ発症してもおかしくない」という現状を、再認識しなければいけないと思いました。
今回の公立保育園でのICT利活用事業では、最も電磁波に影響を受けやすい乳幼児が生活する場でICT利活用を進めるという点に大きな不安を感じます。人間を含む生物は、長い進化の過程で、自然界にある電磁波へ適応してきたわけですが、5G・超高速通信の電磁波があふれる環境は、人類にとって未経験、未知の世界です。危険ではないと結論を下すのは時期尚早であり、慎重な対応が必要です。特に、成長期にある子どもたちは電磁波の影響を受けやすいので、できる限り安全な環境を大人が用意してやる必要があると考えます。
加えて、県がソフトバンクと提携してICT利活用を進めようとしている点も気になっています。ソフトバンクは「社会貢献活動の一環としてこの取り組みを実施します」と言っているのですが、ほんとうに社会貢献を考えるならば、保育の場に必要なのは、ICT技術ではなく「人材」だと気付くはず・・・。ソフトバンクのねらいは社会貢献よりもICTで儲けることではないか。県も「ICT技術で保育士の業務負荷を軽減する」ことは目先のことで、根本的な解決にはならないと分かっているはずなのに・・・。今後「ICT技術で保育士の業務負荷を軽減する」方向に向かうとすれば、子どもにとっても保育士にとっても、不幸なことではないでしょうか。
今6月議会に「公立保育園へICT利活用事業を導入するにあたり、無線LAN使用について慎重に検討することを求める陳情」が提出されましたが、私もこの陳情には大いに共感します。継続審査になってしまったのが残念なのですが、議会としてどのような結論を出すのか注視していきたいと思います。