安曇野の地下水を汚染させない陳情書

~受理した後に一転 陳情書は審査せず議員配布するだけ~

9月議会に提出された陳情書など

市政についての要望や意見等があるときは、だれでも請願や陳情を提出することができます。議員の紹介があるものを「請願」といい、紹介がないものを「陳情」といいます。
陳情も、請願と同様に市民の要望や意見等を述べることですが、請願のような法的な定めはありません。(安曇野市議会のホームページより)

とうことで、陳情を請願より軽く扱い、陳情書を議員配布するだけで委員会で審査しない議会が多いのですが、安曇野市議会では陳情を請願に準じて取り扱う(委員会で審査する)ことになっています。受理した請願・陳情は、議会運営委員会でどの常任委員会に付託するか協議・決定し、付託された場合は委員会で審査し、その報告に基づき、本会議で「採択」か「不採択」を決定します。

ところが、この9月議会では、陳情の取り扱いに疑問点が多く、市民の要望や意見を軽く扱っているように思え、申し訳ないような気持になりました。それも一つや二つではなかったので、なおさらです。

最も残念だったのは、「安曇野の地下水を汚染させない陳情書」。8月19日に受理され、議会運営委員会で総務環境委員会に付託し審査することが決まったにも関わらず、あとになって廃棄物処理施設に係わる裁判で係争中の内容が一部含まれるという理由で、一度は受理した陳情書を審査しないことにしたのです。

聞けば、陳情書に添えられた資料の中に裁判に提出されたものと同じと思われる文書があり、陳情書の中にもそれを一部引用したところがあるというのです。しかし、それは地下水汚染が危ぶまれるということを示すための資料であって、裁判の争点をこの陳情でどうこうしようというものではありません。廃棄物処理施設の下水道使用量の推移に不審な点があるので、汚水が下水道に流れず地下浸透していないかどうか、市に調査してもらいたいという陳情なのです。

受理した陳情を、係争中だからというあやふやな理由により、あとから審査を拒否するようなことは非常に問題だと思います。この陳情書を目にした担当部署の職員が「係争中だから」と申し出たのか、議会側のだれかが係争中の市側の事情を忖度(そんたく)したのか。議運の委員からも「この陳情を採択することで裁判に悪影響がでたらいけない」というような意見が出てびっくりでした。議会の独立性はどこへいってしまったのでしょう。三権分立をご存知ないのでしょうか。議会が陳情を採択したことで、裁判所が判断を変えるようなことがあるわけがないです。

この裁判の終結にはまだあと5年や10年はかかるかもしれないのに、現在進行中の下水道使用量の不審なデータや、地下水汚染の疑いを放置してよいはずがありません。使用量を計測して料金を計算し徴収することは市の仕事です。「係争中だからふれない」ですむ話ではありません。営業中の廃棄物処理施設の下水道使用量がゼロだったり極端に少ない期間があることについても、市はデータを持っているのですから、問題に気付いてほしいのですが・・・

「安曇野の地下水を汚染させない陳情書」は審査しないことになってしまいましたが、陳情書そのものは議員に配布されましたので、問題を認識した議員も少なくなかったです。私は23日の経済建設委員会でこの陳情について、緊急性の高い問題が含まれているので、関係する上下水道部に見解を聞くなどして俎上に載せたいと思っています。

◆令和2年9月定例会 議案等と議決結果
https://www.city.azumino.nagano.jp/site/gikai/64318.html

◆陳情概要 [PDFファイル/5KB]
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/41743.pdf
※「安曇野の地下水を汚染させない陳情書」は審査しないことになったため、ここには掲載されていません。