守るべき農地と開発すべきところのメリハリをつけるとは

~豊科重柳地区活性化(開発)に関する陳情~

赤線囲み部分が豊科重柳地区の陳情書に該当する地域

賛成多数で採択と決定 松糸道路ルート決定もあり、市の北部地域の活性化を図る一つと考えれば、時宜を得た開発となる。じっさいに進出したい企業があり、地権者が揃って開発に同意していることを重く受け止め、採択に賛成する。という意見が多数を占めましたが、小林じゅん子は採択には反対しました。
以下、その反対討論の要約です。

重柳地区は、優良農地として安曇野の農業振興はもとより、環境保全や観光資源としても重要な景観の面からも非常に重要な場所である。その一方で、実際にそこで営農する方々はといえば、高齢化により自ら農地を耕しているという農家はなく、ほとんどが認定農業者に任せている。その認定農業者の方々も高齢化している。こうした後継者不足や営農環境、経営の厳しさから、この農地を守っていくことに非常に不安を感じているということも理解できる。

しかしながら、この現状を全て諦めて受け入れて、新たな開発にという点については、いま一度、立ち止まってしっかりと考え検討し直す必要があるのではないか。守るべき農地と開発すべきところのメリハリをつけていくのがよい、という考え方では農地はなし崩し的に消えていってしまう恐れがある。これは、単に農業者だけの問題ではなく、安曇野に生きる市民すべてに関わる問題であり、安曇野市が目指すべきまちづくりと農業の方向性の問題だ。これまでグローバル経済の仕組みの中に農業も取り込まれてきたが、コロナ禍のこの1年を振り返ってみると、農業は私たち人間の本来的な営みに不可欠なものであって、まさにグローバルの対極にある私たちの住んでいるその地域の中で完結する、持続可能な社会のための持続可能な農業を目指すところに来ている。

親元就農、I(アイ)ターン就農、定年帰農と多様な担い手が育っている安曇野市では、多様な地域農業の可能性に希望を託したい。現状、この地をマスタープランに位置づけるには制度上のハードルが高く、農地転用の手続などもそう簡単ではない。農地として守っていくために様々な今後の農業の施策に期待する中では、これまた時間がかかることではあるが、そういった方向に期待をして、今すぐに、この農地を開発するというこの陳情の採択には反対する。