令和2年度安曇野市一般会計の決算認定は

~決算は市の政策や事業の事後評価 次の予算に活かすために~

安曇野市議会は2021年9月定例会最終日の17日、令和3年度補正予算、令和2年度決算、その他条例改正などの議案審議を終え、追加提案された議案を含めすべて可決して閉会しました。陳情については継続審査となったもの、不採択になったものもあり、継続審査となっても、来月の市議会議員選挙後は、事実上の廃案となってしまうことがとても気になりました。

今議会の決算審議ではあまり波乱もなく、ほとんどの議案は可決となりましたが、ただ一つ令和2年度安曇野市一般会計歳入歳出決算の認定については反対しました。
以下、その反対討論です。

第77号 令和2年度 安曇野市一般会計 歳入歳出決算の認定について、
反対の立場で討論します。
決算は、市の施政方針や予算編成方針示された重点課題の結果に対する事後評価であり、住民の福祉の増進、平たく言えば「市民の幸せ」を実現するための次の予算編成の基本となるものとして重要な意味をもちます。
令和2年度の安曇野市の総決算としては、市行政組織の内部統制の緩みにより、適正な事務執行・予算執行がなされず、成果があがっていない状況が見えるため、反対せざるを得ません。

具体的にいくつか事例をあげます。
安曇野市役所ではじめてのセクハラ事件については、2年以上をかけて、適正な対応をするよう求めていますが、市には解決しようとする姿勢が見えません。被害者職員が精神的に追い詰められて退職を余儀なくされても、市はこの事件をうやむやにしたまま公表もせず、再発防止につなげる様子も見えません。正規雇用の加害者職員は守られるなか、非正規雇用の被害者職員は体調を崩し精神を患ったため、公務災害の申請をしていますがいまだ結論はでていません。令和2年度にはハラスメント防止等に関する要綱を作ったわけですが、充分に機能するものとなっているか、本気で取り組もうとしているのかが問われていると思います。

本気度が問われるといえば、工業振興事業の多くを業務委託している一般社団法人の設立の経緯にも問題を感じます。あまりにも安易に市が関わっており、お互いが持ちつ持たれつの間柄で、事業を丸投げしている中ではどれだけ成果があがっているかとか、次に目指すべきことは何かなど、はっきりしないまま漫然と続けるだけの事業になっているのではないでしょうか。

これと似たような経緯で市が関わって設立された一般社団法人に、社会就労センターの運営を指定管理で任せた事業では、この一般社団法人の運営費用の積算の見込み違いがあり、決算で大きな繰越金が発生し5年間の繰越金3千万円以上が蓄積されていたにもかかわらず、市は指定管理料を見直すといった基本的なことをしていなかったことが、令和2年度の財政援助団体等の監査で明らかになりました。

もう一つ、記憶に新しい事例をあげます。廃棄物処理施設に関する排水設備調査の業務委託で、随意契約にあたって仕様書を作らないで見積り合わせを行ったという問題です。不正な随意契約や談合があったと疑われても仕方ないようなやり方をしたにもかかわらず、再発防止に向けての反省はありません。

共通の問題として、業務委託や指定管理者制度等により外部へ任せることによって、事業の丸投げの傾向が強まり、そこに、市行政組織の内部統制の緩みにより、適正な事務執行・予算執行がなされず、行政として果たすべき責任や機能の低下を招いているのではないかと懸念されます。
以上、令和2年度安曇野市一般会計歳入歳出決算の認定について反対の討論といたします。

議員別賛否一覧 [PDFファイル/249KB]
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/48569.pdf