安曇野市議会12月定例会 小林じゅん子の一般質問(まとめ)

~公から真っ当な雇用を 会計年度任用の問題点を直視せよ~

広報あづみの363号の会計年度任用職員の募集記事

2005年の合併当時、安曇野市の正規職員860人に対し非正規職員は545人。2009年には男女別のデータで非正規職員は男性73人・女性559人、合計632人に増加。事務職員や保育士、教員、カウンセラーや相談員、図書館司書、調理員などが非正規に置き換わってきましたが、増えた非正規職員のほとんどが女性なのです。

そして、正規職員の男女の給与の差86%であるのに対し、会計年度任用職員も含めた全職員で見ますと60.6%にダウンしています。女性に給与の低い非正規雇用が多く、管理職登用が少ないということがその原因です。

「官製ワーキングプア」は女性の労働問題として社会問題化するなか、今年度の正規職員は735人まで減り、非正規職員は726人へと増加しており、住民サービスの低下につながりかねない状況が見えます。

自治体における非正規職員の任用適正化・処遇改善等を目的として、2020年度から会計年度任用職員制度が導入されましたが、残念ながらその目的が達成されたとは言えません。住民サービスを支える非正規職員の「まっとうな雇用」を実現していかないことには、住民の暮らしを守ることはできないという観点から質問しました。

【小林質問】 平成17年合併当時、本市の正規職員860人に対し非正規職員は545人であったが、現在は正規職員735人に減り、非正規職員703人に増加。その9割近く623人が女性。本市職員の男女の給与差は、非正規職員も含む全職員では女性60・6%と低いが、これは女性に給与の低い非正規職員が多いためである。非正規職員の「真っ当な雇用」について市長の見解は。

【太田市長】 雇用に際し職種や必要な資格、報酬予定額を明示しているので、これら要件を承知で応募し、非正規採用と理解して勤務しているはず。処遇改善としては、令和6年度より非正規職員に勤勉手当の支給を予定。令和2年度の平均年収額約225万円が、約273万円となる試算。

【小林質問】 人件費を抑えるために正規職員を減らし非正規職員に置き換えてきたことで、住民サービスの低下を招いているような状況はないか。

【総務部長】 正規・非正規の職員の置き換えはない。住民サービスの低下はない。との答弁とともに、総務部長の反問があった。

【総務部長の反問】 小林議員の質問は大変抽象的で、答弁のしようがない。具体的な事例を基に、住民サービスの低下を招いている業務等があればご教示を。

【反問に対する小林の答弁】 反問に対して、正規・非正規の職員の置き換えや住民サービスの低下はあると反論。教育部所管と福祉部所管の仕事において、住民サービスの低下を招いている事例を具体的に説明。また、それらが非正規雇用職員個々の資質の問題ということではなく、非正規雇用の構造的な問題なので、様々な支障が出ていてもおかしくないと答弁。(反問は終了)

【小林質問】 市政の半分を支える非正規職員が不安定雇用でいいわけがない。民間では労基法の改正により雇用の改善が進む中で、公務員にも更なる処遇改善が必要ではないか。

【総務部長】 これまで休暇や健康検診等の福利厚生や収入面において、できる限り処遇改善に努めてきた。令和6年度からの勤勉手当の支給に向けて条例改正等の準備を進める。

【まとめ】 人口減少・少子高齢化等の社会経済情勢の変化のなかで、行財政基盤の強化と効率化を目的として平成の大合併が推進され、その流れの中で安曇野市も誕生しました。公務員は多すぎる、定数を削減すべきという社会の風潮を背景に、財政安定に向けて人件費を削るために正規職員を減らし、かわりに非正規職員を採用してきたこの18年間でした。

非正規を正規に転換し、正規職員を増やすことにはカネがかかる、財政的に厳しい・難しいと行政は言いますが、しかし、職員の人件費を削減し、行政コストを抑えようという発想はもうやめるべきです。それは、男女差別やジェンダーギャップによる雇用の格差や賃金の格差を前提にした、非人間的な考え方だからです。

一気に非正規職員を正規職員に転換することはできませんが、少しずつでも変えていくことができれば、着実にそして確実に、男女平等、雇用と賃金の格差の解消に近づいていきます。公の自治体から1400人にのぼる職員の真っ当な雇用をつくっていくことができれば、このまちはもっともっと元気になっていきます。

そこに地方自治体としての責任があると思います。
会計年度任用職員制度の問題点を直視し、
安曇野市からまっとうな雇用をすすめてください。