安曇野市議会12月定例会 小林じゅん子の一般質問(まとめ~その2)
~農業由来の野焼きなど、例外的に認められる場合もあるが~
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では、廃棄物の焼却・野焼きを原則禁止しています。ただし、同法施行令第14条に例外としているものがあり、以下の5項目となっています。
1、国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却
2、震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却
3、風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却
4、農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却
5、たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの
野焼きは低温燃焼のため、不完全燃焼となり煙が大量に発生します。国立環境研究所の報告によれば、麦や稲の野焼きで発生するPM2.5粒子は、大気中のPM2.5粒子と同程度もしくはそれ以上に毒性を持つと考えられます。
また農業由来の野焼きにおいても、低温燃焼であるがゆえにダイオキシン類が発生します。(800℃以上で燃焼すればダイオキシン類は殆ど発生しない)ダイオキシン類の発生量は燃焼物に含まれる塩素の量や燃焼状態によって左右され、特に塩素を含む農薬、除草剤の影響により発生量が増えることが知られています。
青森県の「稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例」、新潟県の「稲わら等適正処理に関する指導要綱」、岡山県の「晴れの国ブルースカイ事業」など、稲わらの有効利用(圃場すき込み、堆肥化、飼料・敷料として活用)に取り組んでいます。長野県はまだこの程度ですが、安曇野市ではもっと積極的に、稲わら等の焼却・野焼きから有効利用への転換を進め、信州安曇野らしい澄んだ空気を取り戻したいと思います。
《資料の説明》
資料1の2024年10月3日の写真は、市内の野焼きの様子を捉えてものです。あちこちで野焼きの煙が上がって、景色がかすんで、雲か煙か分からないような状況になっています。
資料2の表は、この日のPM2.5の観測データです。10月2日~4日にかけてのデータですが、太字にしているところは世界保健機構WHOの指針値を超えています。
この現実を踏まえた野焼き対策を考えるにあたっては、農業を営むためにやむを得ない焼却であるとか、たき火など日常生活で通常行われている程度なので大丈夫といった認識は改める必要があると思います。