土地改良区と水土里(みどり)ネット

土地改良区の現実と水土里ネットのイメージの落差

 拾ヶ堰改修の問題に関わる中で「土地改良区」という言葉を何度も耳にしました。話の中では農家が「土地改良区」の組合員だということぐらいしかわからず、また私のような非農家は「土地改良区」とは否応なしに対立関係に置かれてしまう居心地の悪さがありました。とにかくよく分からないので、インターネットで調べてみました。こういう時に”ネットで検索”はとても便利、議員活動には欠かせません。
 ところが、土地改良区の情報はたくさんあるのに、その役目について明確に説明しているページが少ないのです。そのうえ土地改良区の愛称・水土里ネットでホームページが作られているところも多く、おまけに全国水土里ネット(全国土地改良事業団体連合会)の新田舎人ホームページというのまであり、欲しい情報になかなか辿り着けませんでした。ようやくのこと「土地改良区は、農地と水という地域資源を管理してきた農家による自主的な組織で、かんがい排水路の造成や区画整理等の工事を行うとともに、造成された土地改良施設の維持管理を担っている」という基本が分かりました。
 なぜこうも分かりにくいのだろうと考えてみると、全国の土地改良区のホームページは数々あれど、作成に関わっているのはほとんど国の役人か外部委託で、土地改良区の組合員が直接関わっているものが少ないこと、その結果として土地改良区について理解してもらいたい情報発信したいという熱意に乏しく、内々で閉じた感じになってしまっているのです。「水土里ネット」の愛称についても、土地改良区が地域により開かれ、より身近に感じてもらえるよう募集したものだそうですが、水土里ネットと呼んだからといって土地改良区の説明になるわけもなく、かえってイメージの落差がマイナス印象。写真のような立派な冊子もチグハグナ感じ。
 これまで土地改良区が担ってきたことは大いに評価し認められるべきものですが、農村の都市化・農地宅地の混住化が進むなか、これまでの慣例や既得権にこだわっていくならば、土地改良区の存在意義は半減してしまうでしょう。環境との調和への配慮、自然と共生する田園環境の創造という新たな目的に向け、土地改良区と地域でともに生活する人々とが、一緒に地域づくりをしていかなければ未来はないのではないでしょうか。住民参加による拾ヶ堰排水路整備工法検討ワークショップは、そのための初めての大きなチャンスでありチャレンジだと思います。