拾ヶ堰は地域の歴史的文化遺産

拾ヶ堰と安曇野の景観を考える会・改修は住民参加で

 住民参加による拾ヶ堰排水路整備工法検討ワークショップへの参加の呼びかけが始まりました。改修工事に疑問を持ち関係機関に働きかけて4ヶ月あまり、ここまでの転換があろうとは・・・ これまでの経過を振り返ります。
 「拾ヶ堰は江戸時代に開削され、現在に至る190年近い歳月途絶えることなく安曇野の水田を潤してきた。農業用水路の機能はもとより、水辺の自然環境を育み豊かな農村景観を形成してきた、かけがえのない地域の歴史的文化遺産。全長15キロのうち既に約8割が3面コンクリート張りで改修されているが、一部ではまだ所々に自然豊かな景観のいいところが残っている。ことに堀金村役場の周辺は昔のままの面影が残り、まさに安曇野そのもの」ところがです、そこもいよいよ改修、何とかならないかということで、私は「拾ヶ堰と安曇野の景観を考える会」の世話人に加わりました。拾ケ堰をはじめ安曇野の堰の歴史に感動し、先人の知恵や情熱を誇らしく思ってきたからです。21世紀に生きる私たちの知恵と情熱は、決して3面コンクリート張りなんかではないはずです。
 まず、会ではこの堰の受益者である土地改良区の事務所に行きました。しかし理事長は会ってくれません。堀金村の山口村長にも会いましたが「改修は決定済。上流も下流も3面コンクリート張りにした。途中だけ違う工法ではできない」とのお返事。それでもあきらめず、7月26日に学習会を開催したところ60人以上が参加、一般住民でも堰に関心のある人がこんなに大勢いるのだと意を強くしました。
 8月12日には農水大臣宛に要望書を提出。改修を延期し再検討すること、多自然型工法を取り入れること、住民へ説明し改修とその後の維持管理も含め計画に参加させることなどを要望。しかし担当の農政局の中村所長は「2年前に言ってくれたら間に合ったけど、もう遅い」と、この言葉には本当にびっくり。
 ところが8月20日突然田中知事が視察し「改修については農水省から納得できる説明がないならば県は金を出さない」と発言。9月3日農水省は知事に会い「改修は住民合意を得るため次年度に延期。ワークショップを開き工法を検討する」と説明。私たち会の主張を認めたのです。
 これでひとまず一段落とはいえ、会の人たちには「工事を延ばすことは無理」と言ったのに、知事が出てきたとたんにコロッと変わるのはどういうこと!そしてそもそも土地改良区って何? 続きはまたこの次へ