穂高町の住民投票で何が問題だったのか

合併は町長としての政策提案である

 15日、16日の一般質問では、8人が合併関連の質問をぶつけてきました。私も合併について1項目取り上げましたが、それとは別に重点的に取り上げたい質問があったので、今回の住民投票と合併問題については他議員にお任せしたような形になりました。
 そこで、です。合併推進議員の質問と町長の答えは予想された内容でしたが、合併反対の3議員と町長との応酬は興味深いものでした。というか、私など町長の答弁を聞いていて、だんだんとハラが立ってきました。ハラが立つのは感情的になっている証拠、冷静にと言い聞かせつつ論戦に耳を傾けました。

 そもそも住民投票が望ましい形で行われるためには、 合併に関する公正中立な情報の提供が大前提です。 しかるに穂高町の今回の住民投票ではどうだったか?行政の持っている情報がすべてといってもいい状況であるにもかかわらず、町はその情報を出し惜しみしたり合併に有利に働くような出し方をしたり、これまで私がこのページで報告してきたとおりです。
 平林町長は「合併は町長としての政策提案である。合併がよいと説明するのは当然」だと言うのですが、あくまでもそれは”提案”であって、決めるのは住民です。町長の提案が是か非か、合併するかしないか、住民に合併の争点や論点を明らかにし賛否を的確に判断できるよう、公正中立な情報が十分に提供されてこそ、 住民による意見の表明、 意思決定が可能となるのです。
 ですから、町は公開討論会やシンポジウムなどを開催し、住民が賛成・反対のそれぞれの主張や第三者からの意見を聴き、賛否の判断の参考とすることができる場を提供することが必要です。しかし、平林町長のやったことは?合併勉強会、学習会と称して合併推進の住民団体の協力のもと(どちらが協力したのかは実は私には分かりませんが)合併に偏った情報を発信し続けました。「合併は町長としての政策提言である」と言うだけで、3期目10年に及ぶ町政の実績と評価にはふれず、自立への展望はまるでないかのごとく振舞ったのです。「合併しなければ町民負担は3割程度の増加予測」「合併すれば負担は少なく、サービスは高く」「無責任な反対では何も生まれません」などと大書した合併賛成派のチラシが会場の受付で配られる、それを黙認しながら平林町長は話すのです「反対派の説明は極めて感情的、非論理的」だと。どちらの会にも属さずにいた私から見れば、賛成派の説明も”極めて感情的、非論理的”なもので、情報提供には程遠いものでした。
 住民投票の結果報告があった7日の議会全員協議会、その控え室で「こんなに議員が一致団結するなんてことは今までなかったこと・・・ よく頑張ったね」と声高に話し合う合併推進議員の声を聞き、これまではっきりと合併賛成の主張をしてこなかった議員までがなぜ?と首を傾げてしまいました。
 しかし、住民にとって不十分で合併に偏った情報提供のなか、合併賛成が354票上回るに止まったというところにこそ穂高町としての民意が現れたという気がします。住民投票の権利を勝ち取ったのも、公正中立な情報提供ということに無頓着だったのも同じ穂高町住民であり、住民自治の意識の高まりもかなりのところまで来たけれど、残念ながらもう少しというところではなかったかと思います。