ツギハギだらけの年金行政(その1)

2007年7月7日 12時27分 | カテゴリー: 活動報告

ファム・ポリティックス〈2007年夏号〉より情報提供

 みどりのテーブル・情報交換MLから入ってきた情報です。題して「ツギハギだらけの年金行政」、この記事の監修をしている青木秀和さん(財政問題研究者、みどりネット信州でもお世話になってます)も、「おそらく、わが国で一番易しく、一番急所をついた解説になっていると思います」とのこと。
 私もさっそく読んでみましたが、今騒がれている「宙に浮いた年金」の問題から始まって、年金制度の歴史にまで及び「戦費調達が目的だった厚生年金」といったことまで、よくわかりました。
 「転載歓迎」ということですので、全文をここに紹介します。ぜひ、ご一読ください。

「ツギハギだらけの年金行政」(その1)
     ファム・ポリティックス〈2007年夏号〉より

 少子高齢化が急激に進む中、マジメにやっていたって「危ない」とウワサが絶えなかった年金制度。ここに来て、ついに屋台骨から崩れ出した。
 どうしてこんなことになったのか。政府は「実務の問題」や「職員の問題」で片付けようとしているが、年金制度そのものが持つ、根本的なデタラメさに、今こそ目を向けなければいけない。

*あきれた「入力ミス」*
 今回、もっともセンセーショナルに報道されたのが、「一人に一つ割り当てた年金番号に統合できていない年金が、五千万件もある」というニュースだった。いわゆる「宙に浮いた年金」である。
 日本は赤ん坊も含めて一億二千万人しかいないのに、その半分が誰のものだか特定できていない? そんなふうにカンチガイしてしまった人も多いと思う。

 実は1997年の時点では、何と年金記録が3億もあったという。一人でいくつもの年金手帳を持っているのを一つにまとめましょう、というのが、この年に決まった基礎年金番号の統一なのである。それから10年たっても「名寄せ」ができていないものが5000万件残っている、ということなのだが、その検証の過程で明らかになったのが、あまりに初歩的な入力ミスの横行だった。

 なぜ社会保険庁は、これほど非常識な集団になってしまったのだろう。それは組織の三層構造にあると言われている。
 まずは、厚生労働省のキャリア組。在任期間が短く、すぐに本省に戻るので、自分のいる間に大きな問題を解決することは難しい。それが先送りの事なかれ主義の土壌を生んでいたといえる。
 次に、社会保険庁本庁の職員。ここでは国民から直接集金する業務などがなく、そういう現場との人事交流もない。自分たちが右から左へと動かしている「億」単位のカネが、どんな人々からどれほど苦労して集められたものなのかなど、知るよしもない。
 そして末端が、現在「入力ミス」や「対応の悪さ」で毎日のようにたたかれている都道府県単位で採用された社会保険事務所の職員である。

 1985年、コンピューターによるオンライン化を導入した時、当時オンライン化に反対だった労働組合は「コンピューター作業は負担が重い」と極端に入力作業を制限する労働協約を結んで効率化を妨げた。その分アルバイトによる作業が増え、責任を自覚することなく入力が行われていった。
 カタカナで氏名を入力する際、「幸子」を「サチコ」か「ユキコ」か確認しなかった、などというのはまだましなミス(?)で、「トシコ」が「トミコ」となっていた人もいる。これでは探すに探せない。単純な入力ミスは、住所や生年月日にも及んでいる。

 こうして誰のものかわからなくなってしまった年金記録は、放置され続けた。その上、入力そのものがされていない、まさに「消えた」年金記録も相当な数にのぼり、それは「5000万件」の他にあることがわかってきた。彼らもまた、「年金」とは国民から預かった「他人のカネ」で、40年後にその書類を証拠として確実に支払わなければならないものという自覚と責任感が欠如していたと言わざるを得ない。
(つづく)