ホームページと「名誉毀損」の問題

名誉毀損になるかならないかの分かれ目は

 YahooでもGoogleでも、「小林じゅん子」で検索すれば真っ先に出てくるホームページが「小林じゅん子 安曇野市議会議員 プロフィールボード」、つまりここです。2003年1月から書きはじめて、もう6年近くになります。この右上あたりに活動報告 [481]と表示されていますが、実はそのうちの3分の2は穂高町議の時期に書いたもので、安曇野市議になってからは、不本意ながら書くペースが落ちています。

 なぜ書けなくなっていまったかというと、パソコンやインターネットが議員の間でも普及して、ホームページの情報が身近になったことが影響しています。「それって、どういうこと?」と思われるかもしれませんが・・・
 つまり、私のホームページを見たり、こんなこと書いてあったと話題になることが珍しくなくなり、「実名で書くのは止めてくれ」、「言った通りに書いてもらわないと困る」といった議員からのクレームが増えたから、ということなのです。「新聞じゃあないんだから、いちいち書かなくていいんだよ」なんて乱暴なことを言う議員もいて、そこまで言うなら「もっと書いてやろうじゃないか」と反発しないでもないのですが・・・ 「正確に」「言った通りに」と言われると、そこが一番の「弱み」でもあるので、筆が鈍りがちに・・・ 正確さを意識し過ぎると、気軽に書けなくなるものです。

 とはいえ、そんなことを言われても「実名で書くのは、議会本会議、委員会、全員協議会など、公開の場であったことに限っている。たとえ議会中でも、休憩や昼休みの世間話や廊下での立ち話など、私的な場面でのことは実名で書いたりしない。誹謗・中傷など書かないことは、言うまでもない。」と反論するようにしているので、最近ではうるさいことを言うヒトはなくなりましたが・・・

 ここまで書いたところで、こんな個人的なことを書いてもしょうがないし、やめようかなあと、そんなことを考えていたところ、親しくしているある議員から「ホームページのことで『削除を求める仮処分』の申し立てがあり、裁判所に呼び出されている」という話が飛び込んできて、これはやっぱり個人的なことですますことではないな、書いておかなくてはと思い、続きを書いたというわけです。

 彼女は、自身のホームページに記載した内容について「名誉毀損」で訴えられたというのです。弁護士の説明では、「名誉毀損になるかならないかの分かれ目は、①表現内容に公共性があるか、②表現者は公益を目的としているか、③内容は真実か、の3点だ」と。その観点から見ると彼女の場合、「公費の使途について情報公開して得たことであり、市民の関心も高く「公共性」はあるし、公開された内容(実態)を市民に知らせようとしたのは公益目的といえる。残る問題は真実性だが、公開されたデータをホームページで見やすく並べ変えただけだから真実性に問題はない。」だろうということで、私も他人事でなくホッとしました。実際にそのホームページを見てみましたが、どこが名誉毀損になるのか首を傾げてしまいました。

 彼女も「こんなバカな申し立てで、名誉毀損の訴えをするなんて・・・」と軽く考えて、自分一人で受けて立つつもりだったと言っていましたが、念のため相談した弁護士から次のような話があったそうです。
 「名誉毀損の主張は成り立たないとは思うけれど、万が一にもこれが通ってしまうと、憲法21条の表現の自由に関わる大きな問題になりうる」、そしてさらに「ここで変な敗れ方をすると、今後、訴えた側がいろいろなところで『宣伝』に使うことは確実。」
 事の重大性に気が付き、弁護士を代理人に立て、慎重に対応することにしたと話していました。
 ホームページやブログで書いたことで、議会の懲罰にかけることはできませんが、個人的に名誉毀損で訴えることはできるので、「表現の自由」には油断は禁物ということですね。
 ただし、万が一訴えられようなことがあれば、ひるまずいきたいと思っています。