わたしたちに残された「最後の手段」住民投票を学習(1)

2011年8月1日 23時05分 | カテゴリー: 活動報告

今井一氏、全国の取材体験ふまえ熱弁

豊科交流学習センターで学習会を開催
豊科交流学習センターで学習会を開催
 住民が本腰を入れて考えなければならない重大な事柄、将来の世代に負担を残す事業は、政治家や議員、役人任せにせず、住民自身が立ち上がり、直接投票で主権者の意思を明らかにすべき時が来る。全国ではこれまで、原発や産廃施設、あるいは合併問題などで、さまざまな住民投票が行われてきた。憲法、地方自治法で許されている直接請求権であるが、実現に至るハードルは高く、重い。安曇野市が約80億円をかけるという新庁舎建設問題は、この「最後の手段」を検討せざるを得ない段階に来た。
 市民有志で結成された「新庁舎」住民投票の会(準備会)は7月30日、豊科交流学習センターで学習会を開いた。講師の〔国民投票/住民投票〕情報室事務局長の今井一さんは、ジャーナリストとして全国各地で実施された住民投票すべてを見てきた体験を踏まえ、「地域の重要な問題は自分たちで決めよう」と立ち上がった各地市民の動きを伝え、熱弁をふるった。
 学習会は 急な呼びかけだったが、40人を超す市民が参加。活発な質疑が飛び交った。今井さんの基調報告と主な質疑を再録する。(まとめ・横地泰英)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 おとといまで、福島にいました。すごい距離を移動してきました。本職はジャーナリスト。これまで12冊の本を書きました。来週、集英社、それに岩波からも原発・国民投票関連の本を出します。国民投票・住民投票情報室というNPOをやっています。いままで日本では401件の住民投票が行われていますが、メディアがこの数字を使うときは、私たちの調べであるクレジットを入れなければならない。総務省に聞けば「今井に聞いてくれ」といわれる。それだけ権威のある会なんです。代表は元安孫子市長でしたが、消費者庁長官になってしまい、いまは成蹊大学の武田先生です。
 原発問題は大混乱。即刻か、20年ぐらいかけて転換するか。政府が決めるのではなく、イタリアやスウェーデンのように国民投票で決めればよい。今、こうした運動を湯川れいこさん、辻井 喬さん、山本太郎さんらとやっています。アイススケートが強い関西大の法学部で、国民投票、住民投票の講義もしています。

 きょうは、新市庁舎問題で安曇野に来ました。できればぜひ住民投票をやってもらいたい。いままで401件の住民投票があったのですが、ちょうど15年前の1996年8月4日、新潟県西蒲原郡巻町で東北電力の原発の是非をめぐり住民投票が行われました。翌月には沖縄で日米地位協定と基地をめぐり県民投票がありました。岐阜県御嵩町では産廃施設問題で住民投票。このように96〜97年はいわゆる迷惑施設めぐり、地元住民が拒否権を発動した。住民投票は反対住民の最後の抵抗手段のように言われますが、本来は反対の最終手段としてあるのではない。98〜99年は公共事業が住民投票のテーマになりました。神戸空港、吉野川可動堰など大型公共事業は住民の声を聞くべきだとする機運が高まった。住民投票の結果は、ドイツやスイス、アメリカなど欧米では法的拘束力を持たせている国が多いが、日本ではそれが法制化していない。

資料1(多数の署名で否決・提出者と可決率)をみてください。多数の署名を集めた住民投票条例制定の請求は議会であっという間に否決されてしまう。熊本県人吉市は有権者の48.5%、愛媛県大洲市は53.3%。2人に1人が署名しているのにたった5分で否決ですよ。

 住民投票条例には三つのやりかたがあります。①首長が提案②議員が提案③有権者の2%以上の署名をあつめて直接請求、の三つです。いずれの場合もやるかどうかを決めるのは議会。しかしこの3年3か月、全国で43件が連続否決です。小国町では65%の署名を集めて否決。これはもう、住民が悪いのではない。制度がまちがっている。片山総務大臣は住民投票法制を創設する予定でした。就任後1年半たってもうちょいのところまできていたのに、震災が起きて・・・。
 資料2(リコールと条例制定の比較 )を見てください。リコールの流れと条例制定を求める直接請求の流れを対比させています。リコールはルールが変わって先日名古屋市で成立しました。リコールは有権者の3分の1の署名がいる。条例は2%だから楽でしょう?ところが50%の署名でも議会が拒否してしまえばだめ。3分の1連署のリコールを突き付けられたら、拒否できない。やめるか、住民投票になる。圧倒的多数は議会解散でした。条例制定改変には鳴らなかった。わたしたちは条例制定をリコールと同じルールにしようと運動をつづけています。

 もう一つの道があります。広島市、我孫子市、岸和田市が独自の「実施必須型住民投票」制度を設けています。問題が起きてから署名を集め直接請求するのではなく、住民投票条例は常設し一定数以上の署名があれば必ず住民投票を実施する。岸和田は5分の1以上であれば住民投票二なります。市庁舎問題もこうした制度を作る手もある。
 住民投票の頻度は2002年ごろから急伸しました。合併特例法で住民投票は年間150件にもなりましたが、合併特需の終了で2005〜2006年には激減。合併関連以外はわずか3件だけです。
※次ページへ続く