議長の就任あいさつと議会改革

キーワードは「議会改革」と「透明度のある開かれた議会」

議員としてのわたしの教科書「議員必携」
議員としてのわたしの教科書「議員必携」
 本日8日、安曇野市議会だより第25号がお手元に届いていると思います。議会広報担当の委員長だった2年間は、年がら年中編集に追われている気分でしたが、久しぶりに一市民の気持ちになって表紙を開きました。
 トップ記事は議長・副議長就任あいさつ。議会の申し合わせ任期(2年)で交代する議長・副議長なので、就任あいさつも4回を数える。さあて、新議長はどんなことを言っているのかしらと読んでみると、キーワードはやはり「議会改革」と「透明度のある開かれた議会」ということらしい。

 「議会改革」と「透明度のある開かれた議会」、歴代議長のあいさつに決まって出てくるこの言葉。安曇野市に限らず、全国の地方議会でも同じようです。加えて「議会基本条例の制定。今や、議会基本条例を制定した自治体・議会は(2010年までのデータ)、15道府県、4政令市、93市、51町、4村の計167にもなっています。後発の安曇野市議会としては、早く自治基本条例をと制定を急ぐ空気があります。しかし、空気はあっても一向に実現に向けての具体的な動きは見えません。

 議会改革だ、自治基本条例だと聞くと、わたしはいつもこう言います。「自治基本条例もいいでしょう。でも、その前に地方自治法がありますよね。自治法に則って議会を運営すれば、それだけで「議会改革」は進むと思いますよ」と。
 その実例を一つあげるとすれば、市議会の会派制です。会派とは何か。実は、法律的な定義は何もありません。自治法100条の14に政務調査費の交付に関して「会派又は議員に対し」という文言が出てくるだけなのです。会派を作らなくても政務調査費は交付されます。議員3人以上で会派と認めるとか、会派に所属しないと議会運営委員になれないとか、そもそも、「地方議会は会派制をとるべし」などと、自治法のどこにも書いてないのです。

 にもかかわらず、これだけ会派制にこだわる、とらわれるのはなぜなのでしょう。「寄らば大樹の陰」的な発想で、会派制に頼っているということはないでしょうか。
 議員が拠り所とすべきは議会内の人間関係ではなく、市民であり有権者であり己の信念であるはずですが、安曇野市議会の現状では、会派が縛りとなって議員同士の自由な意見交換や合意形成の弊害になっているとしか思えません。
 こういった会派制を見直すことは、なにも議会改革検討委員会を設置するとか議会基本条例を制定するなど大上段に構えなくても、その気になればすぐにもできることです。自治法に規定されていることならば話は別ですが、前段で書いたように地方自治法には会派の規定はないのですから。

 それにしても、です。「議会改革」と「透明度のある開かれた議会」は、議会内からも言われるようになりましたが、どこまで本気なのかはそれこそ「不透明」です。
 「議員の教科書」とも言われる議員必携(穂高町の議員になったときいただきました。全国の町村議員のほとんどが持っている本だと思います)には、「町村議会の機能を高めるための方策」(83年2月)というのがありました。「町村議会の活性化方策に関する報告書(抄)」(98年4月地方議会活性化研究会)という具体的な改革案も掲載されています。30年も前から課題とされてきたことが、いまだ実現できていないのです。
 「議会改革というのなら、議員必携にある改革案に一度目を通してくださいね」と、ある議員に話したら、「えっ!?そんなのあるんですか。知らなかった・・・」でした。

 む・しネットの勉強会でいつもお世話になっている寺町みどりさんの言葉ですが、「議会を変えなければならない、議会はこうあるべきだ、という議論はたくさん見聞きするが、「わたしが議会を変える」という人に、いままであまり出会ったことがない。名医の処方箋は出尽くしているのに、主治医になろうというひともいないし、患者も治りたがっていないようだ。つまり、議会が変わらないのは、当事者として、本気で議会を変えようとするひとが少ないからだ」この言葉をわたしは忘れることができません。

 安曇野市議会でも、どれだけの’患者’が治りたがっているのかわかりませんが、一つだけ確かなことは、「わたし(小林じゅん子)は本気で治りたいと思っている」ということです。
 今年はわたしの出番があるかもしれません。