裁判支援の2団体が市に費用請求撤回求める

~三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会とともに意見書を提出~

 第三セクター安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)をめぐる住民訴訟で、安曇野市は去る7月18日、訴訟費用の確定処分による歳入10万8000円を計上した補正予算に基づき、原告の小林じゅん子に対して10万8020円の請求書及び納付書を送付しました。

原告を支援している二つの市民団体とともにわたしも、請求の撤回などを求める要望書や意見書、そして全国から集まった署名700筆余を市に提出しました。(市議会にも同内容の請願を24日に提出しています。署名にご協力いただいた方々には、ほんとうにありがとうございました。)

以下は、わたしの意見書ですが、なぜこれを書いたかというと、「議員が市を訴えるとは何事か」、「議員として市を訴えた責任がある」、だから「訴訟費用の請求は当然」という議員が多いからです。宮沢市長も同様のお考えのようです。そこで、「住民監査請求・住民訴訟は議員の重要な仕事」だと反論しておきたかったのです。

意見書「住民監査請求・住民訴訟は議員の重要な仕事」

安曇野市議会議員小林純子

 2007年8月、安曇野市が出資する第三セクター・三郷ベジタブルの経営不振に関わって、住民監査請求するか否かわたしは決断を迫られていた。予算審議で問題を追及し、一般質問で3度も取り上げ、情報公開しては議会や市民に現状を訴えるなど、議員としてできることはやりつくしたが、市は何ら手を打とうとしない。このうえは住民監査請求しかないと声をあげたが、「そんなことをすれば、従業員の士気が落ちて逆効果だ」「再建案を提案するとか前向きなことをするのが議員だ」といった批判も聞こえてきて、なかなか踏み切れないでいた。

しかし、住民監査請求という手段を知っている議員こそ積極的に動くべきだと思い至り、「㈱三郷ベジタブルにトマト栽培施設使用料の支払いを求める住民監査請求」を起こしたのである。「たとえ住民側の主張が認められなくとも、訴えは改善されることが多く、反省を促す効果は十二分にある」との先輩議員の励ましが後押ししてくれたことも大きかった。

行政の事務には、膨大な「公権力の行使」「処分」が存在する。議会の監視対象というべきその「処分」が納得できないときの救済のための法律・制度を知ることは、議員活動に不可欠である。議会と行政は車の両輪にたとえられるが、常にチェック機能を果たし、必要ならば「NO」と言わねばならない。両輪といえども議会はブレーキとしての役目を担っているからである。

もうひとつ議員活動に不可欠なのは情報公開。市民がわがまちの身近な政治に関心を持ち、どんどん公開請求することで、行政が開かれ、風通しがよくなり、市民に近くなる。議員もヒアリングだけでよしとせず、情報公開により事業の経過や意思形成過程、異論や課題なども掘り起こし、議員としての仕事に深み・厚みを増していくことが重要である。「非公開処分」に対し異議申立をしたり、「情報非公開処分取消訴訟」を起こすなど、その制度を知る議員が率先して行なうことで、情報公開制度を市民の道具として鍛えていくことになる。

公開された情報を読み解くなかで、違法あるいは不当な行為(税金のムダ遣いといえばわかりやすい)が見えてきたとき、次なる手段は「住民監査請求」。住民は監査請求を通して、主権者として行政の予算の執行、仕事ぶりを監視・監督できるようになっている。だから「住民監査請求」はその自治体の住民であれば、誰でも、一人でもできるし、もちろん費用もかからない。しかし、このような法的手段を知っている市民は少ないし、一市民が行政を訴えるということにはためらいや抵抗感が大きく、そのハードルは高い。 ならば、市民の代表である議員こそ積極的に動くべきではないのか。情報公開や住民監査請求、住民訴訟などが、市民の道具として有効活用されるよう環境を整えることは、議員の重要な仕事である。

「議員が市を訴えるとは何事か」、「議員として市を訴えた責任がある」、「訴訟費用の請求は当然」といった非難を受けるが、これこそ的外れであると考える。