議会に根ざした文化がない

~河北新報社説:議会文化/多様性受け入れる変革必要~

 議会は男の世界。議会は慣例と前例の世界。議会は特権の世界。
 もしかしてこれを読んでいるあなた、うなずいているのではないですか。議会には男も女もないはず。議会は法が律する世界のはず。議会は公平公正に働くはず。本当はこっちにうなずいてほしいのですが、現実はそれとは程遠い状況です。

 これは、11年前、私が合併前の穂高町の議員になったころに書いた文章の一部です。今になっても、残念ながらあまり変わっていないと感じます。なぜこんな昔のを引っ張り出してきたかというと、昨日の河北新報の社説に「議会文化」という言葉をみつけたからです。「議会は男の世界。議会は慣例と前例の世界。議会は特権の世界。」と感じたのは、議会に根ざした文化がなかったからだとピンときました。備忘のために、記事を貼り付けておきます。

◆社説:議会文化/多様性受け入れる変革必要
 2014年07月22日 河北新報  http://www.kahoku.co.jp/editorial/20140722_01.html

 東京都議会や国会のセクハラやじは、あきれたことに民主主義の根幹をなす議会の人権意識の欠如、性差別の風潮をあらわにした。
  これを端緒に、他の地方議会や国会の女性議員から同様の経験を訴える声が上がっている。宮城県でも超党派の女性議員グループが体験アンケートを実施し、ハラスメント防止の体制整備を求める要請書を県内の議会に提出する計画を進めている。
  日本の議会に共通する恥ずべき体質であると言わざるを得ない。この際、全ての議会がわがことと認識し、セクハラやじに限らず、あらゆる旧弊を改善して、差別なく誰もが参画しやすい議会文化の変革に本腰を入れる契機とすべきだ。

 「女性が輝く日本」を掲げる安倍政権。6月に閣議決定した成長戦略にも女性の活躍推進を明記した。掛け声だけに終わらせないためには、政策決定に関わる議会こそが率先して女性が活躍できる環境を整え、社会の模範とならなければならない。
  何にも増して、個々の議員の意識改革が必要なのは言うまでもない。同時に、ともすれば画一的な男性議員の価値観で動いてきた議会の慣例や習慣を見直し、意識改革を促すための仕組みやルール作りも欠かせない。

  参考になる手引がある。世界各国の議会が参加する国際組織、列国議会同盟が2012年、「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」を採択、加盟国の議会に対して周知と実施を要請した。参議院事務局が日本語版を発行している。
  「行動計画」は、多様な戦略が七つの行動分野にまとめられている。例えばその一つ、「ジェンダー平等のための法律および政策の強化」では、全ての議員や議会スタッフを対象として、性差別的な言葉や行動を罰する行動規範を定める、反差別・反ハラスメント方針を策定する、苦情対処の独立組織を設置するなどの方策を示す。
  「ジェンダーに配慮したインフラおよび議会文化の整備または改善」の分野では、仕事と家庭の両立支援のために、審議時間の見直し、男女共に取得できる育児休暇、院内託児施設の設置などの提案もなされている。

  旧来の議会文化の改善は、単に女性のためだけではない。多様性の包容という視点が重要だ。議会は、多様な人々で構成された社会の民意を反映させる場でなければならないからだ。
  先ごろ出されたことしの男女共同参画白書は「男性の仕事と暮らし」を特集。家族類型や就業スタイル、個人・社会生活などあらゆる面で「標準的」と言えるような特定のモデルは存在しなくなっていると、多様化の現状を示した。そして、変化を的確に把握し、従来の考えに縛られることなくさまざまな施策や制度の検討・実施を行うことが求められると指摘している。
  女性はもちろん、固定的な価値観に縛られずに生きる男性、性的少数者なども含め、「多様な個性が輝く日本」を目指す議会文化の醸成を望みたい。