「市議が市に〝陣中見舞い〟」議会報告会で市民指摘(その2)

議員の寄付行為について~安曇野市議会HPより

~議員となった以上は「社会通念上のお付き合いが制限される」ということ~

 続きです。(その1)では、6月26日午前開催の全協の様子をお伝えしました。その日は6月定例議会の最終日、午後の議事が終わったのが6時59分。議会事務局長が「急で申し訳ありませんが、7時から全協をお願いします」ということで、急遽の全協となりました。

 宮下議長は、「豊科の議会報告会で質問した人がちょうど傍聴に見えたので、話を聞いた。陣中見舞いの情報はだれから得たかと聞いたところ、守秘義務があるから言えないとのことだった。昼休みに召田議員から『公選法違反の指摘があったのは自分のことだと思う』と申し出があった」と報告。ここで不思議に思ったのは、召田議員の名前が出た瞬間の、その場の空気に何の変化も感じられなかったこと。わかっていた人が多かったのか・・・

 召田議員からは、自分が除雪作業中の職員に対し、「ご苦労様」というねぎらいの気持ちから、デリシア(ベイシアと言ったのかもしれない、聞き取れず)だったかで1,500円程度の菓子を買い、袋に名前を書いた(か定かでないが、ここも聞き取れず)職員に手渡した。消防団長の時は、いつもそうやって差し入れをしていたので、公職選挙法に違反するとは思っていなかった。今後は気を付けたい。申し訳なかったとお詫びの言葉がありました。

 実はこの差し入れの証拠写真がありまして、袋入りではなく某有名菓子店の箱入りで、どう見ても1,500円程度のものではありません。熨斗に名前と激励の言葉も書かれています。品物や金額がどうのこうのという以前に、問題を小さく見せようとして正直に答えていないことがとても残念でした。

 私が「社会通念上許される範囲のもので、善意でやったことだから問題ないということですませていいのか。個人的な問題で片づけてしまうことではない。4年前に現職議員が選挙の陣中見舞い(3,000円~5,000円)を贈って問題になったときも、議会として対応しなかった。また同じことを繰り返すおそれがある。きちんとした対応をしないと、議会への信頼は失墜する・・・」と発言したら、「善意で差し入れした程度のことが、公職選挙法違反だなどと言われるのはおかしい。いったいだれがそんなことを漏らしたのか」という発言まで飛び出し、「そうだ、そうだ!もらった職員だっておかしいじゃないか」、「通報したのはいったい誰なんだ!」とか、議論はあらぬ方向へ。
 結局、議会としてこの問題をどう捉え、反省し、今後の処し方につなげるか、はっきりさせないまま終わってしまいました。

 市民のみなさん、もしかしたら1,000円、2,000円のこと、善意の寄付であればなおさら、そんなにこだわらなくてもいいのに、と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、その感覚が実に困った問題につながっていくのです。
 ひとつ例を挙げます。地域ぐるみの選挙で当選した議員(全体の3分の2ぐらいか)は、選挙後に市政報告会とかそれなりの名目で地域住民を集めて、「当選祝い」や「ご苦労さん会」のようなことをしている場合が多いです。会費1,000円ということにして、実質会費以上の供応をするとか、そんな感じです。
 これは公選法違反になりますが、選挙民も「選挙の手伝いに駆り出されたのだから、そのくらいのことは当然だ」と思っている人も多ので、やらないわけにいかないと、ある新人議員も言っていました。

 金銭や品物で公正で自由な選挙が阻まれるようなことがあってはならないですから、買収は言うまでもなく寄付の禁止についても、議員(議員を目指す人も)厳しく対処しなくてはなりません。
 議員の寄附行為については安曇野市議会ホームページにも詳しく説明されています。普通は常識的な範囲だからOKだと思うようなことが、公選法に違反しているということがよくあります。
 議員となった以上は、「社会通念上のお付き合いが制限される」ということ、「善意の寄付」も「ほんの気持ちの差し入れ」も許されないことを、よくよく理解しておかなければならないのです。
 市民の皆さんに向かっても、このぐらいにしないと理解していただけないと思います。http://www.city.kazo.lg.jp/ct/other000001500/kifukoi.pdf

 さてさて、今後、安曇野市議会が「議員の寄付行為」について、「社会通念上許される範囲のもので、善意でやったこと。今後は誤解を招くようなことがないように」で一件落着とするようなことがないよう、しっかりと見届けたいと思います。