太陽光発電施設建設と農地転用や特定開発事業の認定の問題

2016年9月14日 11時05分 | カテゴリー: 議会報告

太陽光発電施設資料①

太陽光発電施設資料①

~安曇野市議会9月定例会
     小林じゅん子の一般質問(その1)~

市は、土地利用条例の適正な運用により、景観・環境に配慮した対応に努めるとしていますが、他の関係法令から見ても立地の適切性が問われるケースが出ており、看過できない状況となっています。

そこで、立地の適切性が問われる太陽光発電施設について、市は把握しているか聞きました。問題の施設はないとの答弁でしたが、私の調査によれば穂高の立足地区に昨年末に完成した太陽光発電施設は、農地法や安曇野市土地利用条例に違反して建設された疑いがあるので、今回一般質問に取り上げました。不適切な立地であるにもかかわらず、なぜ農地法にふれることなく、また特定開発事業の認定がされたのかという疑問です。

立足地区のこの太陽光発電施設は私の住まいの近くで、通り掛かりによく見える場所でしたから、住宅団地のまん前に、それも田んぼや畑の田園風景の中にどうして太陽光発電施設が建ったのか疑問に思っていました。(資料①の写真)

太陽光発電施設資料②

太陽光発電施設資料②

 立足のこの場所は、太陽光発電施設が建設される前に、建売住宅を造るということで農振除外の手続がとられました。その後、事業計画が建売住宅からフットサル場に変更され、農振法上の事業内容の変更の手続きがとられるとともに、フットサル場を事業目的として、農地転用の申請が出され、県知事より転用が許可されました。

フットサル場が完成し、農地転用が完了した土地であったため、現在では太陽光発電施設を作っても問題ない場所になっている。というのが市の説明でした。

しかし、ちょいちょいそのあたりを通っていた私は、フットサル場が出来たなんて、まったく知りませんでしたし、それらしきものを見たこともありませんでした。

 農林部長は「農地転用における工事進捗状況100%の報告が出ています」、都市建設部長は「フットサル場が完成したという工事完了届けが出ていますが、工事の完了検査には行っておりません」というので、さらに詳しく尋ねると、「工事完了検査は行っていませんが、フットサル場は完成していました。完了届けの添付書類にはフットサル場の写真がありました」というのです。それが資料②の写真です。

 農地転用の申請書にも旧穂高町まちづくり条例の開発事業承認申請書にも、土を入れ替えて人工芝を貼って、高さ6mのフェンスを作り、浸透枡を設置すると書いてありますが、写真にはそれらが写っていません。

太陽光発電施設資料③

太陽光発電施設資料③

「今となっては確かめようがない」と逃げられないように、資料③の写真を用意しました。フットサル場が完成したことになっている場所の写真です。Google ストリートビューから、農業委員会への完了届けの3ヵ月後にあたる写真を探し出しました。このころにはもう雑草が地面を覆っています。フットサル場など影も形もありません。

 

 

 

 

 

太陽光発電施設資料④

太陽光発電施設資料④

次に資料④⑤です。フットサル場の工事着手届と工事完了届です。画面ではわかりにくいですが、どちらも平成26年8月5日付となっています。着手届は完了届けより先に提出されるものだと思いますが、なぜか完了届と一緒に出されています。

このおかしな着手届はひとまずおくとして、工事完了の日付は平成26年4月10日です。近くに住んでいる方の話では、造成工事は平成26年の3月から4月にかけて行われ、工事内容を知らせる看板も出ていなかったので、土地の所有者である業者に問い合わせてみたが、全く回答がなかったそうです。それで不審に思って、資料③の右下にある動画を撮影したとのことです。

業者が太陽光の設備認定をとったのは平成26年3月31日、申請したのはその数か月前、業者の計画はさらにその数か月前からと考えられます。とすればフットサル場の工事より前に太陽光発電の計画があったことになります。ということは、太陽光発電施設を作る腹積もりで造成工事をしたと考えられないでしょうか。

太陽光発電施設資料⑤

太陽光発電施設資料⑤

いまから太陽光発電をやろうとしている土地に、わざわざおカネをかけてフットサル場を作るでしょうか。裏になにかあるなと、だれが考えてもおかしいと思います。ましてや専門にその業務に携わっている職員が気付かないはずはないと思いますが、市側は、あくまでも職員の事務処理ミスと言い張っています。

つづいて工事着手届、工事完了届の届出日の謎解きをします。平成26年7月23日の観光交流促進課と業者との会議で、業者が「太陽光発電をやりたいが、問題は市の土地利用条例であり、建築住宅課では手続の適用性の判断を保留している」と発言しています。これはどういう事情があったのでしょうか?

 

 

農業委員会は通常の手続きでは「完了検査にこない」のですが、「建築住宅課は完了検査にくる」、そういう細部のことは一般には知られていないわけですが、本件は行政書士が手続きしているので業者側も知っていたと思われます。

造成工事が終わって間もない平成26年4月21日に、業者は農業委員会には工事が完了したという届け(資料⑥)を提出しています。しかし、建築住宅課には提出していません。建築住宅課に工事完了届を出せば、完了検査が行われます。先ほど説明したように、申請時の計画とは全く違って、人工芝もフェンスもなく、フットサル場として完了検査が通らないのは目に見えています。

太陽光発電施設資料⑥

太陽光発電施設資料⑥

そこで、業者は建築住宅課に工事着手届・工事完了届は出さないまま、太陽光発電施設の相談を持ちかけ、建築住宅課の出方をうかがうつもりだったと思われます。

一方、住宅建築課は、前の事業であるフットサル場について、工事完了届、あるいは、工事中止届が出されない限り、次の事業である太陽光発電の特定開発の申請がなされても受理はできない。そのあたりを業者に伝え、それが「問題は市の土地利用条例であり、建築住宅課では手続の適用性の判断を保留している」という文言に凝縮されているように見えます。

保留した結果、建築住宅課がどう動いたかといえば結局「完了検査をしなかった」わけですから、そこに何らかの不正があったと疑わざるをえません。事実、建築住宅課の担当職員は、なぜ工事完了検査をしなかったのかという住民の問い合わせに「業者はフットサル場を造る気がなかったから、工事完了検査に行かなかった」と答えています。職員の事務処理ミスといえば、通常、過失を意味しますが、このケースは故意ということになります。

最後に、農地転用や事業認定に関わる事務処理ミスの問題と今後の対応について市長に聞きましたが、「誠に遺憾。あってはならないこと。職員の資質を向上させ市民の信頼を取り戻していく」という市長答弁で、なんとか職員の事務処理ミスで済ませたいという意図がありありと感じられました。

本来ならば建てられない場所に太陽光発電施設が建設されてしまったのです。単なる事務処理ミスななのか、何らかの不正があったのか究明する必要があります。その気がないとすれば、いくら市長が「職員の資質を向上させ市民の信頼を取り戻していく」と言っても空しく響きます。