穂高プール廃止の見直しを求め存続を願う陳情書

~反対討論のポイントは公共施設の再配置計画にあり~

安曇野穂高プール
安曇野市ホームページより

合併前の旧5町村のうち、明科町と豊科町、そして穂高町に町営のプール施設がありました。合併後間もなく、当時の平林市長は、3つのプールを改善し維持し続けることは困難なので、1カ所(穂高プール)にまとめる方針を出していました。
それから10年が経過し、その穂高プールもウォータースライダー、ろ過機、ポンプ、配管など、施設全体にわたって老朽化が進み、施設運営に支障が出てきたのです。当面の修繕費だけでも1億4千万円ほどかかるとのこと。

市は、今後の施設運営について「これまで、部分的な修繕を繰り返して施設を維持してきましたが、施設を安全に安心して利用していただくためには、多額の修繕費用がかかると見込まれます。また、修繕の実施により当面の運営は可能としても、施設自体が老朽化していることから、今後更に修繕が必要となることが予想されます。このような状況を踏まえ、市の公共施設再配置計画10年計画案において、穂高プールは平成30年度に廃止する方針を示しております。それに伴い営業は平成29年度で終了する方向で検討を進めております。」ということで、7月28日に市民説明会が開かれました。

その後、市議会に提出されたのが「穂高プール廃止の見直しを求め存続を願う陳情書」です。陳情の内容としては次の4項目でした。
1、穂高プールを残し存続するようにお願い致します。
2、高齢者や障がい者も利用しています。穂高プールを廃止することは、福祉の後退になります。福祉を後退させるようなことは、安曇野市としては やらないようにお願い致します。
3、年間2ヶ月しか利用できないプールではなく、若者の雇用の場にもなる通年利用できる屋内外のプールや体力・筋力維持を目的とする、トレーニングジムや多目的ホールなどが備わった公園施設を建設するようにお願い致します。
4、上記3での公園施設は、長年 安曇野市穂高プールをして親しまれている、立地条件の良い現場所にお願い致します。

8日の福祉教育委員会では、10月に控えた市議会議員選挙を意識してか(票が逃げないよう態度を曖昧にしておきたい?)、賛否を明確にしなくてすむように「継続審査にしよう」という意見が出されましたが、2対5で継続審査は否決。1時間近くかけて質疑、意見交換、討論と議論が展開され、採決の結果は2対5で不採択となりました。
以下、15日の本会議審議における小林じゅん子の反対討論です。

陳情第5号 安曇野市穂高プール廃止の見直しを求め存続を願う陳情書の採択に、反対する討論を行います。

私の反対討論のポイントは、公共施設の再配置計画にあります。
少子高齢化で人口も減っていく、税収も減っていく、そんな将来見通しのなかで、これまでどおり施設を維持していく、建て替えしていくことは、もう難しい状況にあります。公共施設の再配置計画は待った無しだということです。

ところが、そのことを最もよく知る立場にありながら、公共施設の再配置計画に反するような新総合体育館建設計画を押し進めてきたのが、宮澤市長です。この反対討論は宮澤市長にこそ聴いていただきたい。

これだけの大規模な体育館を建てるという安曇野市政を見て、公共施設の再配置計画やその前提となる安曇野市の社会的変化や財政状況の悪化を理解する、あるいは不安に思う市民は、どれだけいるでしょうか。

市は、公共施設の再配置計画について「総論賛成、各論反対」というジレンマを強調することはあっても、真剣に市民と向き合い総論を繰り返し徹底的に議論することがあったでしょうか。それどころか、新体育館建設を進めるという、再配置計画を自ら無視するような方向で進んでいるのですから、市民に安曇野市の将来について切実感や危機感が伝わるはずもありません。

私は、ここで、穂高プール廃止の見直しを求め存続を願う陳情に反対をするわけですが、けっして陳情者の思い、市民の願いを頭から否定するものではありません。前段で述べたように、安曇野市の将来を左右する公共施設の再配置計画を、充分に伝えられていない多くの市民にあって、穂高プール廃止に反対する気持ちは理解できます。

しかし、何度でも言いますが、今最も必要なことは公共施設の再配置計画に本気で取り組むことです。プールを利用している受益者市民の陳情だけに耳を傾けるのではなく、プールを維持していくために、税負担が増すだけという市民の声も考慮して考えると、穂高プール廃止の見直しを求め存続を願う陳情に反対せざるをえません。

◆穂高プールの現状および今後の方針についての市民説明会概要
http://www.city.azumino.nagano.jp/soshiki/42/39093.html