市町村議会議員研修・自治体決算の基本と実践
~行政評価を活用した決算審査~
安曇野市議会では年に1度、公費で議員研修の機会が与えられています。今年は全国市町村国際文化研修所主催の「自治体決算の基本と実践~行政評価を活用した決算審査~」(2日間コース)を受講しました。
■5月20日(月)
1,講義・演習 自治体決算の意義と審査のポイント
講師:武庫川女子大学 経営学部 教授 金﨑 健太郎 氏
・自治体決算の意義や流れについて学び、その役割や重要性を理解する
・決算カードや類似団体比較カードの読み方を学び、実際の決算審査の際のポイントなどについて学ぶ
■5月21日(火)
2,講義・演習 行政評価等を活用した決算審査
講師:静岡県立大学 経営情報学部 教授 小西 敦 氏
・行政評価の基本と目的を理解し、評価手法等を学ぶ
・それら評価手法を活用した決算審査の進め方について理解を深める
・議会の行政評価への関わり方について受講者間で議論する
《成果とまとめ・所感》
1、自治体決算の意義と役割(基本のキの再確認)
決算は、市の施政方針、当初予算で示された重点課題の結果に対する事後評価であり、将来にわたってより効率的な行政運営を行うための予算編成の基本となるものとして重要な意義がある。
決算を認定しないからといって、執行されてしまった予算は変えることはできないので、使ってしまったおカネに意外と無関心な議員が多い。自分の関心事にどれだけ予算がついたか気にする議員は多いが、決算に関心を持って真摯に取り組む議員は少ないというのが現状で、これが今回の講義の根幹のところにある課題と受け止めた。
2、予算編成から決算までの流れ
決算審査は政策の事後評価。一つひとつの予算(決算)項目、数値が自治体の政策や個々の事業を表している。したがって、決算についても厳しい視点で臨むことが重要。数字の一つひとつが、政策の事後評価につながる事実を表わしており、そこから読み取れるものを次の予算に反映させていくことが必要となる。
自分の関心事にどれだけ予算がついたか気にする議員は多いが、心がけるべきは決算・財務サイクルを念頭に、(執行されてしまった予算は変えることはできないからこそ)、成果だけでなく必ず課題・問題があり、そこを見極め、後年の予算執行に役立てるところに決算の意義がある。
3、演習①・あなたの自治体の財政診断をしてみましょう
演習②・行政評価を活用した決算審査
演習①では、決算カードや類似団体比較カードの読み方を学び、実際の決算審査の際のポイントなどについて理解した後、「あなたの自治体の財政診断をしてみましょう」ということで演習として、(1)各種指標の状況はどうか。(2)全国的な傾向と比べて何か特徴はあるか。(3)気になること、不安に感じることはないか。あるとすればその要因として思い浮かぶことはあるか。(4)将来に向けて、財政運営上の課題として考えられることは何か。という観点から、数人のグループに分かれてディスカッションを行った。
演習②では、自治体決算の制度と現状、関連する地方自治法の最新の法改正について学んだ後、議会と行政評価の関係について、用意されたグループ討議シートを用いて議論した。こちらも1時間という充分な時間があり、テーマと関連して受講者それぞれの自治体の現状も交え学びを深めることができた。また、20グループすべてが財政診断の演習成果を発表し、講師の講評を受けることができたので、満足度の高い研修となった。