◆住民訴訟 控訴審第4回口頭弁論
高裁判決、8月30日に
「三郷ベジ」住民訴訟 結審
10年6月14日(月)14:00開廷 14:25閉廷
東京高裁 加藤新太郎裁判長
控訴人側 小林純子 中島嘉尚弁護士 傍聴者3名
被控訴人(安曇野市長)側 宮澤明雄弁護士 傍聴者(市職員)2 名
安曇野市のトマト栽培第3セクター安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)をめぐる住民訴訟は10年6月14日、東京高裁で第4回口頭弁論が開かれ、結審した。判決言い渡しは8月30日(月)13時10分。
第4回口頭弁論で控訴人側は、これまで1〜2審を通じて提出した全準備書面を集大成した準備書面11(48ページ)を提出。被控訴人側は「これまでの主張の繰り返しにすぎない」としながらも、従来主張に沿って反論した。
加藤裁判長は受理書面を確認した後のやりとりで、前段の安曇野菜園と安曇野市の施設賃貸借契約の不法性や施設使用料の問題には踏み込まず、金融機関と安曇野市が結んだ損失補償契約が、事実上保証契約と考えるかどうかの後段部分について、双方に問うた。被控訴人、控訴人ともそれぞれの主張を繰り返した。控訴人側の中島弁護士は「財政援助制限法という法がある以上、それを守るという単純な考え方です。あづみ農協との契約はとくに保証契約とそっくり」と指摘。損失補償契約そのものの違法性についても法律判断を求めた。
この日提出された準備書面(3)で被控訴人・安曇野市側は、「三郷ベジによる施設使用は、行政財産を指定管理者として管理するもので、納付金の有無や額を条例で定める必要はない」という考えを基本に、「安曇野市は指定管理者制度による施設使用料を、賃貸借契約という名目で定めたもので、行政財産の貸付に該当しない」と“読み替え論”を展開。賃貸借契約を結んでいるが、中身は指定管理であり、賃貸借ではない、違法無効でないと、分かりにくい理屈を繰り返した。読み替えについての控訴人主張は「違法なものを合法なものに読み替えるなどという行為は行政手続きの適法性に反する」と、しごく明快なものだ。
控訴人側は準備書面11の23ページ以下で「安曇野市の損失」をまとめている。三郷ベジ建設費用20億円による起債償還額は、計6億8千万円、元利合わせ7億2700万円。安曇野市は平成16〜20年度までにこのうち2億9千万円を償還支出している。
これに対し被控訴人側は、この日の準備書面で改めて従来主張を繰り返した。納税者市民から見ればまことに腹立たしい理屈なので、主な部分を採録する。
「そもそも安曇野市と菜園の法律関係は賃貸借契約ではないから、賃料額を内容とする利得も損失も観念できない。菜園は市との管理運営業務委託契約に基づいて施設使用料を負担しているのであって、現在まで支払い弁済期が来ていないにすぎない。起債償還の負担と施設使用料は別個の行為・原因に基づくもので、法律上の因果関係はない。起債償還を指定管理者からの納付金でまかなうのは施設設置スキームの動機にすぎない。元利金負担と菜園の利得との間に因果関係はない」
市は議会全協で「使用料はこれまでの分もこれからも払えない」とすでに明言。宮沢市長は、債権放棄をすでに匂わせているという。税金をバケツからザルにあけるようなものだ。
ところで、これまでに収集した菜園関係の資料を改めて整理してみたところ、トマト栽培施設使用料をいくらに設定しようとしていたかが分かる文書が新たに2種類見つかった。
一つは、旧三郷村が県に提出した販路開拓緊急対策事業計画書(平成14年度策定)で、そこには「村への施設使用料金3155万円」となっており、もう一つは県に提出された後の同事業計画書で、こちらでは「村への施設使用料金5000万円」となっている。それが村議会に説明するころには7000万円にも膨らんだ、つまり「こんなに儲かる」という話になっていたのだ。いかに杜撰な計画だったかを物語る数字である。(報告・横地 泰英)