今回の弁論に先立って、被告安曇野市側の準備書面が届けられました。私たち原告が安曇野市長に対して釈明を求めていたことについて、A4判9ページにわたっ釈明の内容が綴られた書面です。予期していた通りの「言い訳」が書き連ねられていましたが、なかでもヒドイと思ったのは、求釈明事項②について。
三郷ベジタブルの経営状況を示す資料の提出を求めていたのですが、合計残高試算表は「市において所持していない」。決算監査報告書も、第3期までの分は同じく「所持していない」というのです。
合計残高試算表も決算監査報告書も三郷ベジタブルの会社のものだから、安曇野市は「所持していない」かもしれない。しかし、安曇野市の副市長は三郷ベジタブルの代表取締役会長であり、安曇野市の収入役は三郷ベジタブルの監査役である。安曇野市が「所持」していないと言っても、事実上「所持」しているし、提出できる立場にある。それでも出してこないとは、なんと後ろ向きの姿勢だろうか!と、腹立たしい思いを抑えがたく裁判に臨みました。
以下は、第3回口頭弁論の報告です。
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◆第3回 口頭弁論の報告
6月6日(金) 15:04開廷 15:15閉廷 長野地裁第七法廷
裁判長 近藤ルミ子裁判長
原告側 原告2名と中島嘉尚弁護士 傍聴人7名
被告側 宮澤明雄弁護士 他1名 傍聴人2人(安曇野市職員)
報 道 2社記者
冒頭、裁判長から原告側に「損失補償契約について、八十二銀行、安曇農協のほかに(長野銀行へ)訴状に追加的変更がある。(市に)監査請求もしているのか」などと問いかけがあり、原告説明。これに被告弁護士から質問。原告説明。…傍聴人にはほとんど意味不明のやりとりが小声で続いた。
損失補償契約の有効性、行政の役割、金融機関の公序良俗とか、裁判がだんだん核心に近づきつつある感じがする。素人にはきわめて分かりにくい。
裁判長が最後に、訴状変更などを整理、一本化する提案。原告・被告とも同意し、これまでよりは長かった口頭弁論を終えた。次回日程は8月21日(木)16時45分。
閉廷後、前回同様、地裁隣の弁護士会館で中島弁護士のレクチュアを受けました。内容は要旨次のとおり。
(原告の)訴え変更は、そもそも行政財産である三郷ベジタブルの施設建物等は、私権設置できない。地方自治法上、賃貸借契約はできない。我々原告は、そう主張している。ただ、慎重に被告(安曇野市)の出方を見てゆきたい。
これについて、被告側は「賃貸借契約が無効というならば、原告の論拠となる権利は何か」と問うてきた。原告側は、要するに三郷ベジタブルに結果としてタダで使わせた7000万円の賃借料は、安曇野市(旧三郷村)が毎年借金返済のために支出しているのだから、タダということは不当利得であると主張。
これに対し被告側は、7000万円の賃料が無効というなら、損害の根拠もなくなると突いてきた。こちら原告側は、安曇野市(旧三郷村)が毎年7000万円を借金返済していることを強調したい。また被告側は、今回追加の訴えについて、監査請求の結果が出ていないのに、訴訟の手続きはおかしいと言ってきた。このあたりのことは、今回の住民監査請求と賃料訴訟との関係はまったく別の事件ということではないので、幅広い構えでやっていきたい
もうひとつ。三郷ベジタブルの当初計画について、情報公開請求したところ、行政側はほとんど墨塗りで出してきた。当初計画を知りたいので、文書提出命令を申し立てた。
被告側は「どういう事実立証のためにその情報が必要なのか」というが、原告側は二点を挙げた。一つには、三郷ベジタブルの赤字体質。とるものは早くとらないと、とりはぐれますよ、ずさんな経営なのだから、いつまでも猶予できないということ。二つ目は、村が結んだ損失補償契約は、三郷ベジタブルの事業計画の妥当性を十分検証したのか。銀行も妥当な融資をしたのか。公序良俗に違反していないかということ。
長野銀行との損失補償契約は、もともと口約束だった。今年あわてて契約書を整えたが、そういった経過自体そもそもズサンである。横浜地裁判決からいえば「許しがたい」。
◆次回口頭弁論は8月21日(木)16時45分〜傍聴者募ります