安曇野市議会12月定例会・表決の時に(その3)
~「安曇野市議会議員の寄附禁止に関する条例」の制定等を求める陳情~
2月4日(水)配布の「安曇野市議会だより」は、ご覧いただけたでしょうか。その18ページに議案に対する議員別賛否の一覧(賛否が分かれた議案についてのみ掲載)が公表されていますので、ご注目ください。
小林純子のところに○(賛成)、×(反対)とは別の、見慣れない「退」の印があるのにお気付きでしょうか。退というのは退席のこと=議案の採決に加わらず議場の外へ出たこと=棄権したことを表しています。
では、なぜ小林純子は「安曇野市議会議員の寄附禁止に関する条例」の制定、及び「平成26年2月に行われた当市市議会議員の寄附行為の真実の究明、公表」を求める陳情の採決に当たって退席=棄権したのか。
結論を先に言うと、議員の寄附禁止については公職選挙法に明確に規定されており、あらためて市条例として制定する必要がないことから、そこだけを見れば陳情は不採択とすべきなのですが、もう一点の「寄附行為の真実の究明、公表」については必要なことなので採択したいと考えた。つまり一つの陳情が不採択と採択に引き裂かれてしまう状況になってしまったため、陳情者の願いを全否定しないですむ方法として「退席」という態度をとったのです。
この陳情を不採択とした議員の意見としては市議会だよりには「公職選挙法と議員の問題であり、今回の行為の真実の究明、公表は議会で行うことではなく、法律において対応する担当に任せるべき。議会では倫理面での対応が必要」とまとめられていますが、読めば読むほど意味不明な文章です。本会議での討論の中には「議会報告会で市民から投げ掛けられた問題であるから、一般論で逃げるような形ではなく真摯に受け止め、議会として真実の究明、公表に努力すべき」との意見もありましたが、採決の結果は不採択23名、退席1名となったのでした。
この陳情の発端となった議員の寄付行為が表面化したのは、昨年5月の議会報告会でのこと。そして、直後の安曇野市議会6月定例議会で、寄付行為の議員が特定されました。当時の事情については下記レポートを参照のこと。
◆「市議が市に〝陣中見舞い〟」議会報告会で市民指摘(その1)
http://junko.voicejapan.net/blog/2014/07/05/4974/
◆「市議が市に〝陣中見舞い〟」議会報告会で市民指摘(その2)
http://junko.voicejapan.net/blog/2014/07/05/4981/
その後の8月には、安曇野市議会として公職選挙法と寄付行為の禁止について、市の選管の指導により学び、9月議会では「安曇野市議会のモラル確立に関する決議」をあげました。こうした流れを見ると、いかにも事は改善の方向へ向かっているように見えますが、しかし、公職選挙法に抵触する寄付行為の実態について、安曇野市議会内ではまだ事実関係すら明らかにされていません。また政務活動費の使途への疑惑についても、議会として説明責任を果たしていません。
そのような段階で「モラル確立に関する決議」で幕引きを狙うようなやり方はおかしいと考え、私はその時点での安曇野市議会のモラル確立に関する決議を上げることには反対しました。(反対2名、賛成多数で可決)
◆安曇野市議会のモラル確立に関する決議
http://junko.voicejapan.net/blog/2014/10/24/5057/
このような経過を見ていた一市民が提出したのが今回の「安曇野市議会議員の寄附禁止に関する条例」の制定、及び「平成26年2月に行われた当市市議会議員の寄附行為の真実の究明、公表」を求める陳情だったのです。
そもそも、この市民の投げ掛けに議会・議員が真摯に向き合い、応えてきたとするならば、陳情までして訴えようなどとは考えなかったではないでしょうか。