市長、副市長、教育長の給与を減額するための条例改正
~不祥事が起きても、給与を削減して謝ればすむのか~
6月22日、安曇野市議会6月定例会の最終日、市長、副市長、教育長の給与を減額するための条例改正案が追加提案されました。
19日の議会運営委員会で提案説明があったのですが、このコロナ禍のなか、市民と苦しみをともにするというような意図ではなく、最近あった市職員の不祥事の責任を取るための減給処分とのことでした。
不祥事というのは、5月21日に堀金認定こども園で個人情報が記載された公文書の紛失したこと、6月2日に穂高会館で釣銭用現金として保管していた公金2万円を紛失したことの2事案。本会議の議案審議では、市民の皆様、関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をお掛けしたので、再発防止の取組みを全職員で行うとともに、特別職の給料の減額をするとの説明でした。その内容は、令和2年7月の特別職の給料月額を、市長の給料月額を 10%減額、副市長の給料月額を5%減額、教育長の給料月額を3%減額する規定を附則に加えるというもの。
責任を感じている、責任を明確にする、責任を取るということでは、給料の減額(減給処分)は分かりやすい方法で、珍しいことではありません。ただ、市長は減給処分を自ら決定する立場にありますから、慎重に行わないと形骸化するおそれがあります。宮沢市長は、実はもう何度も、職員の不祥事の責任を取って自ら減給処分を行っているのですが、それらと比べて、今回はその必要性、妥当性が見えません。
また、市長の責任が問われる不祥事は、この5月6月の2事案だけではなく、庁内のセクハラ事件、県の行政指導を受けた問題、認定こども園における損害賠償請求事件など、いくつもありますがウヤムヤになっています。そんなことから、私は今回の市長、副市長、教育長の給与を減額するための条例改正には反対をしました。採決の結果、共産党の猪狩議員、井出議員、臼井議員の3人と政和会の遠藤議員が反対に加わったものの、賛成15人で改正案は可決となってしまいました。
以下は、小林純子の反対討論です。
議案第63号 安曇野市特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例について、反対の立場で討論します。
今回の条例改正は、関係職員の処分も決まらないうちに特別職の給与を減額する、それも自ら市民に向かって襟を正しお詫びの気持ちを表したいという理由により、とりいそぎ提案されたとのことです。
先ほどの質疑の中では、条例で規定する給与の減額は、特に基準はなく、また前例、先例等も考慮されず、その時々で「このぐらいでよかろう」ということで、(減給が)行われてきたことがわかりました。
職員の不祥事について、市長に管理監督責任があるのは当然ですが、このような責任の取り方では、「何か問題が起きても、給与を減額して謝ればすむ」と考えていると受け止められかねません。本来の責任の取り方としては、減給だけではなく、防止に向けた取り込みとセットでなければ意味がありません。
また、市長の思いや気持ちで市長ら特別職の減給処分が先に決まってしまえば、職員の懲戒処分に影響し、公平・公正性が損なわれかねません。
先ほど、市長は私の質疑に対する答弁(セクハラに関する部分)を撤回されましたが、市長のこの「お互いに非がある。おたがいさま」というような発言は、市長がご自分の思いや気持ちで処分を進めると、判断を間違えることがあるという、良い事例です。セクハラに「お互いさま」ということはありません。加害職員はきちんと処分されなければならないのに、市長にはその認識がないことがよく分かりました。
つまり、何の基準や規定もなく、また、今回のような市長の思いや気持ちによって市長らの減給が決められるようなことでは、正当性のある条例改正とは言えず、本当に責任を果たしたことにはなりません。よって、本条例の改正には反対します。