三郷中学校で二学期から県産材カラマツの学習机が使われているというので、三郷村教育委員会に電話でお話を伺いました。3年かけて段階的に導入予定、今年度は3年生が使う180セット余が入った。3社の入札により、地元業者のT社が落札し完成品を納入。「松本市では完成品を入れるのではなく、生徒が組み立てているが」と尋ねると、そのような事例をきいていたので教育的にもいい事とは思いつつ、T社が「生徒が組み立てるのであれば、破損した時の補償ができない。完成品納入なら良心的に修理の対応をします。」というので完成品を入れる事になったとのことでした。大町市もこのカラマツ材学習机を導入するという話を聞きました。こちらも行政サイドで進められ、学校備品の業者を通してやはり完成品が入るようです。
東部中学校では、今年の4月からカラマツ材学習机を使っています。いい評判が聞けると思いきや、まだ半年も経っていないのに椅子の破損が多くて困っているというのです。「木っていうのはそういうもんだ」「業者が5年間は修理をしてくれるからまあいいさ」という受け止めをするむきもあり、本来きちんと丁寧に作られていれば、5年10年の耐久性のある木の学習机の価値を認めてもらえない現状は愁うべきことです。ちなみにこちらもT社の製品。松本市ではT社とは別の業者のものを入れていますが、破損は驚くほど少なく今年も全体で2個しかなかったという報告でした。
これらの導入事例から分かることは、一口にカラマツ材学習机といっても製造業者によって品質にかなりの差があるということ。品質・耐久性に差があるにもかかわらず、入札により価格の安い業者に決まってしまうのは問題です。県でも「木の香る学校推進事業」として学習机に対する補助金を出すのなら、それなりの基準を設けたり耐久テストを課すなどしていかないと、せっかくの県産材利用推進が、安かろう悪かろうで見放されてしまうことになりかねません。
穂高もこのままでは東部中学の二の舞になる心配があります。カラマツ材学習机導入に向けて検討委員会を立ち上げ、学校職員、保護者代表、ボランティア団体、行政など連携して準備を進めていくことが是非とも必要です。
自然から届けられた本物の木の椅子と机。地元の間伐材を使い、森を守る運動の象徴として、こつこつ普及させてきたことを忘れてはなりません。