長野県の住基ネットに関する今後の方針について町長は「現在の方式に則ってさらに安全性を高める方向で進める。県が独自のシステムを作れば、事務処理が煩雑になり経費負担も増える。自治体の負担が増えることになれば、賛同は得られないのではないか。」と答えた。また、住民課長は「9月12日までに住基カードの発行は7件。年間1,000件ほどの転出転入等の連絡事務(郵送)が今後は住基ネットでできることになった。住基カードはIC(小さなコンピュータ)が組み込まれたカードで、銀行の磁気カードとは違って読み取りが困難なしくみになっており、暗証番号はもちろんデータのやりとりは暗号化され、安全性の高いカードである。」とのお答え。
6月定例会と今回と2度にわたって住基ネットについて質問しましたが、その内容はどちらかと言えば住基ネットの安全性に関わるものでした。しかし私は安全性よりももっと問題にしなければならない事があると思っているのです。それは、 国民が信頼できる住基ネットになっているかということです。
総務省は、地方自治体側が望んだものを構築したと言っていますが、それは「こんな便利なものができますよ、欲しいでしょう」ということで勝手に作ったというのが本当でしょう。「IT革命を推進し、我が国を世界最先端のIT社会とするため、5年以内に世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を目指す」ということでe-JAPAN重点計画が決定されたのは2001年3月。「住基ネットを活用することが、世界に冠たる国家を作り上げる早道になる」これが政府の見解です。”世界に冠たる国家”とは、個人情報保護に最大限努めることか、それとも個人情報を国の思うままに利用できるようにすることか、不安に感じるのは私だけの思い込みでしょうか。
国は電子政府の構想を打ち出し、より大きなIT社会、ネットワーク社会の構築を目指していますが、これは私たち人間一人ひとりを十羽一からげにして効率的に扱う事しか考えていないような気がします。私は逆により小さな単位、例えば実際に生活している地域社会の単位、企業や学校や職場の単位、もっと小さい顔見知りの人たちの目的別単位などでのIT化ネットワーク化が進み、それぞれのネットワークが重なり合ったり連携したりして、人々がもっと人間的に結びつくようなIT活用を進めることが大切だと思っています。