穂高町議会本会議・小林じゅん子の賛成討論

穂高町の合併に関する「住民投票条例案」について

 歴史的にも理念的にも、 直接民主制こそが民主主義の原型であるということは、皆さんご承知の通りです。地方自治の主役は住民であるということです。
 住民投票は、 まさに地域のことは住民自身の責任で決めようという住民の自己決定権に基づくものであり、 民主主義の最も基本的な形態といえます。憲法の地方自治を具体化する地方自治法には、条例の制定改廃請求、事務監査請求、議会解散請求、議員・首長の解職請求について住民の直接請求が認められています。 さらに、町村が条例により、 選挙人全員からなる町村総会という直接民主制の機関を置くことができるとも定めています。すなわち、 地方自治のレベルでは、より直接制に近い民主制の形態を採用しているのです。
 したがって、議員が住民投票条例を提案するということは、住民一人一人の自己決定権という最も基本的な人権を尊重することであり、民主主義の原点に立ち返ることに通じます。議員としての責務を放棄し、合併の判断を住民に丸投げするすることになるとの批判がありますが、それにはあたらないと考えます。
 また、アンケート調査をするのだから住民投票は必要ないとの意見もありますが、アンケートは行政主体でなされるため、住民にとっては受け身になりがちで、単なる意向調査で終わってしまうおそれがあります。
 住民投票では、投票までに一定の期間(一般的には60日〜90日程度)をとることが定められていますから、一人ひとりが情報を得て、あるいは情報の提供を求め、互いに議論しあい、じっくりと考えることができます。町のあり方を決めるために投票するという行為は、町民一人ひとりが主権者であることを自覚した積極的な意思表示になると考えます。
 合併は、私たち穂高町の存廃に関わる重大事であり、町の将来と住民の生活に多大な影響を及ぼす問題です。住民自らが充分に議論して合併についての意思を明らかにすることができるよう住民投票条例の制定に取組むことこそ、議員の責務と考えます。