KJ法を体験する

文章化しなければKJ法をやった意味はない

 KJ法とは川喜多二郎氏が京都大学教官時代に、フィールド・ワークの記録作成のために考案した発想法で、KJは川喜多二郎の頭文字をとったもの。問題意識の発見や収集データのまとめ、共同討議の方向付けなどに広く用いられるデータ処理法です。先日の「議員と市民の勉強会」で、このKJ法の実際を体験したので、報告します。
 実はKJ法とはっきり言わなくても、様々な場面でこの手法が使われるようになっています。穂高町でも「協働するまちづくり」指針の策定や、公園づくりの計画、合併に向けての住民会議などで、KJ法が取り入れられていました。 でも、今回の本格的なKJ法の講習を受けてみると、町で取り入れたやり方は、住民参加のために、ほんの「さわり」程度のKJ法だったんだとわかり、ちょっと残念な気がしました。

 KJ法の進め方ですが、まず、テーマに沿って、関係ありそうなことや思いついたこと、事実や意見を、連想ゲームのように次々と拡げながら、カードに簡潔で分かりやすい文で記入します。一枚のカードには、一つの情報を記録するようにします。(今回のテーマは「書きことばで、他者にメッセージをどのように伝えるか」、参加人数は4人、1人15枚のカードを書き、全体では60枚のカードを扱いました。)
 次にそれらの全部まとめて、トランプのように切ります。そして、1枚目のカードを声に出して読み上げては、大きな模造紙の上に置きます。次々にカードを読み上げながら、それまでに置かれたカードとの関係性(親近感、似ている)を距離で表し、配置していきます。意味(訴えたい本質)の近いと思われるカードが寄り集まって、自然とグループになってきます。中にはどこにも入らないカードも出てくるので、それは無理に一緒にまとめようとせず、そのままにしておきます。(この「はぐれカード」が後で生きてくる、ということを実感。)
 その次は、同じグループのカードの言わんとしていることを考え、一行見出しにしてカードに書きそのグループの「表札」とします。さらに、その「表札」でまとめられたグループを、全体の関係を見ながら配置します。すると、またさらに上位のグループできてくるので、それにまた「表札」を記入します。と、まあ、こんな作業を繰り返し、最終的にはカードをまとめたグループごとの関連性を見ながら、矢印等の記号を使って図示していきます。(写真はカードを並べて図示したもの。)
 こうして出来上がった図解を見ながら、最初に掲げたテーマについて文章で表現します。その際「表札」としたカードの文は必ず使い、言葉を補いながら、文章がごつごつしないようにストーリー化していきます。これによって、解決したいけれどその道筋がなかなか見えてこない問題や、何となく分っているような気がしながら、はっきりしないモヤモヤとした考えやアイデアを整理し、まとめて言葉(文章)にすることができる、というわけです。

 今回の講習は時間が限られたので、最後の文章化の段階まではできませんでした。文章化しなければKJ法をやった意味はないに等しい、ということなので文章化は宿題に。4時間半かかってまとめた図解のコピーを各自持ち帰り、文章化に悪戦苦闘しました。4000字にもなる文章なので、別ページに掲載しています。KJ法の文章化の一例としてご覧ください。