幻の「反対討論」

ただ1人小林じゅん子は助役選任同意議案に反対

 安曇野市議会12月定例会の最終日の報告をもう一つ。注目の助役、収入役の人事案件について。
 この人事案件については、16日の全員協議会で市長から説明があったので、そのときの事を先に報告しておきます。この全協は議長の提案で「秘密会」となりましたが、この「秘密会の議事は何人も秘密性の継続する限り、他に漏らしてはならない」という規則については、現在すでに「秘密性の継続する限り」ではなくなったので、こうして書いても問題はないと判断しました。(そもそも全員協議会に秘密会の規定があるのかも疑問)
 まず、人事案が議会に知らせる前に新聞に出てしまったことが「議会軽視」になるということで、問題視する議員がいました。これは市長が「議会軽視」で新聞に情報を提供したわけではなく、どこかから漏れてしまった(市長は「脇が甘かった」という表現をしていた。)のだし、「議会軽視」と責めるほどのことはないと思います。

 続いて助役人事について。10人ほどの議員からさまざまな意見がありましたが、賛否両論で1時間近くも議論が続きました。(収入役人事には特に異論はなかった。)全協での意見は聞き置くだけということで、22日の本会議では質疑、討論を省略して、採決だけ行うことになったのです。
 人事案件については、個人の人格を否定するような意見が出ると、差し支えがあるということで、このようなやり方が先例、慣例として通っています。しかし、私はこの先例、慣例に従うには躊躇しました。なぜなら、この人事に賛成というならともかくも、私は反対なのだから、その理由をきちんと述べなければ無責任というものではないか・・・、あえて本会議で異議申し立てをするか、そんなことをしてもムダだから止めておこうか、ずいぶん迷いました。

 そして今日の本会議、助役人事案採決に際し「議会は言論の府ですから討論を行うことが原則です。全員協議会で討論を行わないことを決定することは議会の目的に反します。討論の場を保障してください。」と発言。議長が「只今の動議に賛成の議員は挙手願います。」と問いかけたところ、残念ながら議員の誰1人として手を上げてくれる人はなく、あえなく却下。したがって、用意してきた助役人事への反対討論はできませんでした。
 以下は、私が用意したけれど、陽の目を見ることがなかった「反対討論」です。

◆助役選任同意議案に反対する討論
 助役は市長を補佐し、ときに市長の職務を代理する重要な役職です。また、行政の内部の長として職員や事務を監督し、市長と対峙する立場にもあります。したがって、選任にあたっては、人格、識見ともにその任に耐えうる人材を求めるべきことはいうまでもありません。

 そういう観点から今回の助役人事をみた時、一般論とすれば、西山氏の人格、識見、行政経験などから、助役にふさわしい人物であることは、私も認めるところです。

 しかし、安曇野市の助役に限定して考えた場合には、大きな疑問が残ります。なぜならば、西山氏と平林市長とは合併協議会からの親密な関係があり、西山氏は旧三郷村の議会において村長として「安曇野市長には平林氏を支持する」と発言し、その言葉のとおり選挙戦では平林(現市長)を支援した経緯があるからです。ですから、私も含め多くの市民が、この人事案については、選挙支援に対する「論功行賞」的なものを感じています。これでは「市民軽視」と受け止められても仕方がないと思います。

 また、合併という大きな局面に立つ安曇野市の助役人事を考えるとき、「市長の女房役として、組みやすい気心のしれた人」という観点が優先するのでは、新しいまちづくりに立ち向っていく安曇野市の態勢固めは難しいと思われます。