手元に監査結果の文書が届いたのは19日。まずは「棄却」の2文字を確認し、予想していた通りの結果とはいえ、あまりに行政寄りで市民感覚からかけ離れた判断であることに失望しました。
「市の公の施設=行政財産は貸し付けることができない(地方自治法第238条の4)にもかかわらず、建物等賃貸借契約を結び施設利用料(使用料)を徴収することにしている違法性」について、監査委員は『当該「建物等賃貸借契約」が法的に有効か無効かという認定が必要であるとされるならば、それは司法による判断になじむものと考える。むしろ、「建物等賃貸借契約」を締結したことによって、市が実質的に損害をこうむっているかどうかが監査委員の判断としては重要ではないかと考える』と結論付けています。
「司法による判断になじむ」として、監査委員の判断を避けているわけです。「市が実質的に損害をこうむっているかどうかが監査委員の判断としては重要」だと言って、法的判断から逃げたと言ってもいいでしょう。監査委員は地方自治法や地方財政法など関係法令に則って監査を行うのですから、法的判断を避けて実質的に損害があったかなかったかで判断することはナンセンスです。
今回の建物等賃貸借契約が法的に有効か無効か判断しないということは=現状追認=建物等賃貸借契約は生きているということになります。そうなると、地方財政法第5条(地方債の制限)により、賃貸借契約により貸し付ける目的で作る施設には地方債は使えないということになります。つまり、この5条違反ということで、即刻地方債を返さなければならないはずです。それこそ市は大損害を被ることになります。そもそも、旧三郷村行政が法的判断をイイカゲンにし、行き当たりばったりに物事を進めてきたことが、いかに大きな損害を市にもたらしたかを、監査委員にはもっと重く受け止めてもらいたい。「司法による判断になじむ」などと言っている場合ではないと思います。
「旧三郷村が負担した6億8000万円は、目的を持った公の施設の設置費用であることから、これを施設の管理運営等を委任した指定管理者である会社から回収するという考え方自体が不自然と考える」、「指定管理者制度では、市はあくまでも指定管理者に施設の管理運営等を委任するだけであり、指定管理者の通常の事業経営の中で、使用料などの対価までは求めていないと解するのが妥当であると考える」の2点については、『回収するという考え方自体が不自然と考える』とか『使用料などの対価までは求めていないと解するのが妥当であると考える』と監査委員は解釈しています。
しかし、その『不自然な考え方』で進めてきたのが旧三郷村であり、『旧三郷村が負担した6億8000万円は、会社が儲かるから回収できる』と賛成したのは旧三郷村議会ではなかったでしょうか。そして、都合が悪くなったとたん『対価までは求めていない』と言いだしたのは安曇野市(平林市長)です。ここでもまた、監査委員は市長の判断を追認しただけとしか見えません。
このあとは、監査委員までもが望むように「司法による判断」に委ねることとなります。棄却になった訴えは、そのまま住民訴訟に追加して争うことになります。次回第4回の口頭弁論は8月21日午後4時45分から、長野地裁にて行われます。