3月定例議会で採択された「増田建設産業(有)が申請した一般廃棄物処分業許可に対し不許可を求める陳情書」に関して、4月13日の議会全員協議会で、不許可にすることは難しいという行政側からの報告があったからです。
記事によれば、「議会の決定は尊重されるべきで、周辺住民と話し合いがつかないうちに許可すべきではないと主張。業者が使用許可を受けていない河川敷の堤防道路を使用している点や住民が受けている被害、産業廃棄物と一般廃棄物の混入などの問題点も挙げ、8日までの回答を求めた。」とのことですが、この陳情を採択した議員の一人として、この公開質問状の提出は当然のことと考えます。
「法律により審査する。申請の要件を満たしており、不許可にする理由が見当たらない。」という説明は、杓子定規な「お役人の模範解答」でしかありません。30日の定例記者会見では、平林市長までもが「県が業者の産業廃棄物処理を許可している状況にあり、一般廃棄物(処理)の許可を出せないという根拠がない。法律上適格ならば、市町村は許可を出さざるを得ない」と発言したと聞き、議員としてというよりも安曇野市民として深く失望しました。
法により審査するなら、法の精神、ここで言うなら「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の目的に照らして判断しなければ意味がありません。 廃掃法の目的は第一条にあります。—この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする—『生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る』これが目的です。
書類上の要件をいくら満たしていようとも、現実に近隣住民の生活環境は悪化していることは最も考慮されなければならないし、たびたび違反行為や不法行為を繰り返している(それも操業停止などの処分をスレスレで免れている)業者であれば尚更この法律の目的から外れるものです。(陳情書を参照のこと)それを「不許可にする理由が見当たらない」とは、どこを見てモノを言っているのかと思います。
平林市長は「このままだと、住民にとって決して良くない。裁判を起こされ、負ければ住民はもう何も手出しができなくなる」とし、行政関与・住民監視のシステムづくりをあらためて提案したということですが、一般廃棄物(処理)の許可申請がなされた今こそが「行政関与」すべき時ではないのですか。そもそも「住民監視」を必要とする業者に許可を出すことなど考えられません。住民監視システムの提案というと聞こえはいいですが、「行政が責任を持って監督することはできない」と、責任回避しているようにしか見えません。
平林市長は平成19年(2007年)6月定例議会で、関連の質問に答えて「市民の皆さん方の側に立った、住民の皆さん方の安心・安全のために戦っていかなければいかんだろうと考えている」、「断固市民側に立って戦わなければいけないというのが基本方針である」と発言しています。これが「行政関与」の基本方針ではないのですか。
「(不許可にすれば業者に)裁判を起こされ、負ければ住民はもう何も手出しができなくなる」こんな言葉が市長の口から出るとは情けない。この安曇野市の弱腰の姿勢を業者側はどう見るでしょうか。このまま許可してしまえば、今回のケースが悪しき前例となり、それこそ「安曇野市では一般廃棄物処理はナンデモアリ」ということになりかねません。市は毅然とした態度をもって不許可にすべきです。