三郷ベジタブル関連住民訴訟第9回口頭弁論

今回で弁論は終結、8月7日に判決

 安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)のトマト栽培施設使用料徴収と損失補償契約について、安曇野市の対応の違法性を問う住民訴訟。長野地裁に提訴したのは2007年11月21日。第1回の口頭弁論は、年が明けて2008年1月18日に行われ、それから1年半余りをかけて9回の口頭弁論を重ねることとなりました。
 その最後の口頭弁論となる6月11日は、6月定例議会の真っ最中で、委員会の日程と重なってしまい、残念ながら私は裁判に出席することができませんでした。今回で結審、最後の弁論だったのに、その場に立ち会うことができなかったことは何とも心残りです。
 それはともかくとして、判決の言い渡しは8月7日と決まりました。どんな判決であろうとも、安曇野市の市長選、市議選の前に結論が出るということで、まずはホッとしているところです。

 以下は、第9回口頭弁論の報告です。
 「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんの報告です。

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第9回 口頭弁論の報告

6月11日(木)16:02開廷 16:04閉廷 長野地裁法廷 近藤ルミ子裁判長
原告側 原告1名と中島嘉尚弁護士 傍聴人5名
被告側 宮澤明雄弁護士 傍聴人2名(安曇野市職員)
報 道 2社

 原告、被告側とも最終準備書面7を提出。双方ともこれまでの主張をまとめて整理した。貼付した証拠は原告側31〜36、被告側24〜26で、既提出分も含めて一括提出し、結審した。判決は8月7日(金)午後1時15分。
                 

 閉廷後、中島弁護士がレクチュアした。

 最後の準備書面は、比較的分かりやすくこちらの主張をまとめたものだ。おおざっぱに全体構成をいうと、三郷ベジタブルから施設使用料をとらないことで、同社は不当利得を得ている。使用料をとらないのは違法である。

 なぜか。三郷村と三郷ベジタブルの間で賃貸借契約が3次にわたって結ばれている。平成16年4月1日に基本契約、19年3月30日に変更契約、さらに20年2月5日にも賃貸借変更契約書を結んだ。

 公の施設を賃貸借することは、地方自治法238条4項で締結できない。これは安曇野市も認めざるをえないものであり、契約はいずれも違法であり、無効だ。
 
 となると、三郷ベジタブルは何も払わないでよいのか。そうはならない。賃貸借契約では7138万円の賃料を定め、平成16,17年は「据え置く」とし、19年3月には18年分も据え置いた。そして、驚くべきことに20年2月5日の変更契約では7138万円を19年から2500万円にし、さらに26年からは1700万円に切り下げた。支払期限も21年(さらに25年)まで繰り延ばした。もともと違法、無効な契約なのだから、こんな約束はなんの効果もない。

 三郷村は議会への説明で、施設使用料を毎年7200万円、10年間払われるとし、年間賃貸借料を設定した。三郷村はこの分の起債償還をすでに始めており、使用料が入らない分は三郷村(安曇野市)の損失になっている。平成16〜19年度分だけですでに2億2000万円以上を税金(一般財源)から支出している。賃貸借契約が無効であるうえに、三郷ベジタブルは使用料を払わないのだから、償還負担という損失と同額の不当利得を返還請求しなければならない。

 総務省は15年7月、指定管理者制度の適切な運営について通達。そのなかで運営の細目は協定を締結するのが適当であるとした。安曇野市は平成20年3月1日にようやく三郷トマト栽培施設の基本協定を結んだ。ところがその8条には「別途締結する契約書で使用料を支払う」となっており、それは三郷村との賃貸契約書、つまり違法無効な契約書に基づいて使用料を払うというものだ。

 被告側は「賃貸借期間、賃貸借料はいずれも、指定管理期間、指定管理者からの施設使用料と読み替えることを意図したもの」というが、違法なものを合法と読み替えるなどという行為は行政手続きの適法性に反する。地方自治法2条でも明らかである。また、憲法第92条に定められた地方自治の本旨に反するものである。
 
「安曇野市は、なぜこんな処理をするのか。ものすごく疑問です。」(中島弁護士)

 この裁判は事実関係そのものに争いはない。純粋な法律論、法律判断である。裁判所がどう判断するか、興味を持ち、注目している。違法無効な契約の「有効性」。「読み替え」の判断。肩透かしすることなく、中身に踏み込んだ判断を期待したいところである。

◆原告の準備書面(7)
◆証拠説明書