安曇野菜園を民間譲渡の考え/宮澤市長が表明

今後の1年間で計画通り行かないなら、重大決断もありうる

信濃毎日新聞2010年5月8日記事
信濃毎日新聞2010年5月8日記事
 昨日7日午後、議会全員協議会で安曇野菜園の上半期決算と「事業再生3ヵ年計画」の報告がありました。わたし自身が直感したこと、確認したことなどは改めてかくとして、速報として「三郷ベジタブルの経営改善を望む市民の会」の横地泰英さんのレポートを掲載しますので、ご覧ください。

◆安曇野菜園を民間譲渡の考え/宮澤市長が表明
 安曇野市のトマト生産第3セクター・安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)は5月7日、「事業再生3ヵ年計画」を市議会全員協議会に提示した。黒字転換は第8期(2011年9月期)からで、宮澤宗弘市長は「1年間やってみて計画通り行かないなら、重大決断もありうる」と述べ、経営を民間に譲渡する考えを示した。小林純子議員は、市が当面の運転資金として3,000万円を損失補償して借入することへの是非を問い、さらに事業そのものの経営責任、政治責任を追及した。

 社長の村上広志副市長は「ルビーをやめてリコピンにするなど、品種ごとの生産計画を試算し4億円の売り上げは可能。黒字予測には天候などの不確定要素はあるが、期待していい」と述べた。しかし、この黒字予測に、は年間2,500万円の施設使用料、県農業開発公社への土地代1億7300万円、市が損失補償する借入金1億8,395万円の支払いを計画に盛り込んでいない。これらは、市が肩代わりする可能性、さらに実質的な債権放棄にもつながりかねない。

 さらに村上社長は「経営破綻した場合、22億7,900万円かかる。この1年で黒字を出し、軌道に乗せる中で民間委託あるいは譲渡したい。会社を閉じてしまえば、100人の雇用、1億2,000万円の人件費が失われる」と説明した。当面不足する運転資金3,000万円については、「借りる前にまず集めなさいと関係者に指示している」とし、その上で不足分を借入する考え方を示した。小林純子議員は、事業再生3ヵ年計画の中で平成23年にも計4,000万円の借入を見込んでいることを指摘した。6期4月に1,500万円、7期9月に660万円を借入した経緯を問われた三澤専務は「私がいうと言い訳になる」と口を濁し、資金ショートに「身銭を切る」とは言わなかった。

 小林議員は最後に「市の説明にはまだ納得できない。隠されているもの、疑問がある。当初計画の無謀な実態、責任問題を明らかにする機会、西山相談役、三澤専務が説明する機会をつくり、その上で6月20日(借入金損失補償)市長判断してもらいたい」と述べた。

◆新本庁舎の建設と絡む菜園処理
 7日の安曇野市全員協議会で安曇野市は、豊科の市街化区域5ヵ所の市本庁舎候補地を5月末に絞り込むと説明し、うち1カ所の紡績工場(東洋紡)跡地を買収する場合、21.3〜26.2億円かかるという試算を示した。他の候補地の豊科プール、豊科近代美術館、県安曇野庁舎、市豊科支所周辺との比較判断材料の提示は留保した。小林純子議員は「基本的なところを聞きたい。この土地にいくら使えるか。市の財政状況でどこまでか。ここまでしか出せない、この範囲でという考え方は?」と質した、市財政部長は「合併特例債350億円のうち現在まで100億円使い、残り250億円。何にいくら必要か財政計画を立てている」と答弁。小林議員は「借金返済はきびしい。これしか借りられないという姿勢で」と釘を刺した。

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 市本庁舎問題については、このほか多くの議員が「もっと早く、具体的な計画を示せ」などと活発な発言があった。5月末の「絞り込み」に向けて、一気に関心が集中する気配が濃厚だ。市財政の行方は、市本庁舎建設だけでなく、安曇野菜園や三郷堆肥センターの処理などすべての問題が絡むが、いま菜園が破綻・清算となれば、本庁舎の影は薄くなりかねない。先送りせざるを得なかったのではないか。(報告・横地泰英)